ようやく秋ですね
こんにちは、院長の阿部哲夫です。
ようやく気温が下がり秋めいてきました。これまでは気温が乱高下し、10月下旬でも暑い日があり地球の温暖化を肌で感じる日々でした。上野公園の木々もだんだんと色づいて過ごしやすくなってきました。しかし、こうした日々は長く続きそうもありません。予報によると今年の秋は短いようです。
先日、所用があり豊洲に行く機会がありました。皆さんご存じとは思いますが、ららぽーとをはじめ、周囲にはビルや高層マンションが立ち並び整然とした街並みが広がっている街です。近未来的で時代の先端といった印象の街です。豊洲に滞在した時間は短いものでしたが、自分には違和感がありここには住めないと実感して帰ってきました。何か雑然としたものはまったくなく、温かな生活感が感じられなかったからです。それにひきかえ当院のある日暮里は谷中銀座やよみせ通り、初音小路など雑然とした街並みや古民家が点在し、生活感にあふれています。こうした街並みを歩いていると何かほっと安心してしまうのです。いきつけの飲食店で隣り合わせた人と会話したり、顔なじみの店主と世間話ができたりするなど、下町に住んでいて本当に良かったと思います。
そのためもあって、最近は週に1回は、谷中千駄木根津いわゆる谷根千を散歩したり夜食事に出かけたりしています。おひとりさまが多い喫茶店やレコードをかけてくれる飲み屋さん、昔からの知人がやっているワインバーなどを徘徊しています。しかし、なによりも基本的には町がそれほどは変わらないことが安心をもたらしてくれるのではと思います。
しかし、最近街を歩いていると空き地や建設中の新しいビルを頻繁に見かけるようになりました。戦後の高度成長期にできた建物が老朽化し建て替えの時期になっていることが原因とは思いますが、谷根千も例外ではないようです。夕焼けだんだん下の古い民家やアパートもなくなり現在は空き地になっています。町のうわさではマンションが建つようです。このマンションが街の景観に合っていてお店も町の風情を壊さないようなものができることを願ってやみません。根津の観音通りも以前は古い飲食店や商店が軒を並べていましたが、今は一部が普通の住宅に変わってしまい以前のような風情が失われつつあります。どうか谷中銀座が時代の波にのまれずいつまでも昭和の情景を残してくれるようにと願っています。
しかし、街並みが変わっていくように時代はどんどんすすんでいるようです。医療もその例外ではなく、カルテは電子化されマイナ保険証が導入されるなど、その波には逆らえないようです。紙の保険証からマイナ保険証への移行については賛否あるようですが、今後医療情報の共有化を考えると避けて通ることはできないのではと思っています。マイナ保険証を利用することで、処方薬や検査データなどの情報が医療機関同士で共有できれば、重複処方を防いだり検査を簡素化できたりするなどそのメリットは計り知れません。個人情報の漏洩など不安があることは否めませんが、一つ一つ解決していけば10年後には患者さんにとって大きな利益をもたらすと信じています。医療は日進月歩です。医療の世界では古い治療法や古い診断基準に基づく治療は残すことは無意味かもしれません。40年前に買ったレコードは味があって聴いてみると感動しますが、紙の保険証に固執して医療のDX化を遅らせることは難しいと思っています。まだ当院でもマイナ保険証の利用は多くはありませんが徐々に移行せざるを得ないものと観念しています。古い街並みを残すことはできても、医療の世界ではこうしたノスタルジーに浸ることは難しいようです。