こんにちは。院長の阿部哲夫です。
もう早いもので、12月になってしまいました。街にはクリスマスイルミネーションがあふれていますが、今年は暖冬でコート片手にみている有様です。寒さをがまんしながら、澄んだ空気の中で鑑賞するイメージなので、今一つ気分が盛り上がりません。異常気象なのでしょうが、例年こうした気候が続いてしまうのでしょうか?そうはいっても、12月になるとなぜか気忙しく、何かに駆り立てられている感じは変わりません。文字通りの師走で、バタバタと走り回っている印象です。
先日、精神科医が集まる会合で、「先生は日頃のストレスはどのように解消しているのでしょうか」「仕事への意欲を維持するには、何か秘訣がありますか?」との質問を受けました。こうした質問は、一般の方からはよく受けるのですが、専門医からの質問で驚きました。専門医も一般の方も悩みは一緒と安心する一方で、では自分はその解決ができているのかと自問してしまいました。「何か趣味を見つける」「適度の運動と睡眠は大事」「休息を心がける」などは、実践しているのですが、どれも決定的な解決にはなっていない気がします。認知行動療法の手法を使って、考え方のパターンを変えることも有効だと思います。
こうしたいくつかの方法の中で今自分が最も有効と感じて、していることは実は「考えないこと」です。多くの方は、ストレスの源を解決しようとしたり、それを避けようとしたりしますが、私はそのストレスに関して「考えないこと」にしています。多くの悩みは、解決が困難なことが多いものです。もちろんその解決に向けて対策をすることは必要ですが、その対策を十分した後にはなるべく考えないようにしています。「考えない」で時間を稼いでいると自然にその悩みが小さくなっていくような気がするのです。私は、仏教には明るくありませんが、一種「禅」の精神に通じるものがあると思います。
もちろん深刻すぎて、逃げようのない悩みもたくさんあります。しかし、そのことにとらわれればとらわれるほど、気分は憂鬱になりやる気もなくなってきます。結局、運動や趣味に打ち込むことは、こうした「無になる時間」を作るための一つの方法だと思います。運動や趣味に打ち込み、悩みから少しでも遠ざかることで、日常の自分のペースを取り戻すことができるのではないでしょうか?そういった意味では、日常の目の前の仕事に打ち込むことも、いいと思います。何か心配があるときは、むしろ診療に没頭することがいい薬になることもあります。幸い診察そのものは、私にとってはストレスではなく、むしろ充実感を感じられる時間です。診療に没頭して、今の時間を大切にすることで、自分を取り戻すことができます。「無になり考えることをやめる」ことができないときは、「今に集中して先のことを考えない」ことも、鬱を回避する一つの方法です。年末になり、いろいろな悩みに襲われることもあります。こうした方法をぜひ試してみてください。
今年も、一年ありがとうございました。また来年も診療に集中して、いろいろな難局を乗り切っていきたいと思っています。来年もよろしくお願いします。