こんにちは、院長の阿部哲夫です。
梅雨ですね。この時期の楽しみは、アジサイの花とカタツムリと夏至くらいですね。今年の夏至は、6月21日でした。つまり今は、一年で最も日照時間が長い時期です。ただし晴れていればの話ですが。今年は窓の締め切りもできないので、例年よりも過ごしにくい梅雨です。なんとか、少しでも早く梅雨が明けてくれないかと祈る毎日です。
先日、「コロナうつ」についての簡単な取材を受けました。今年は、新しい言葉がたくさん発生しましたが、「コロナうつ」もその一つに数えられるでしょう。「コロナうつ」は、もう少し詳しく言えば「コロナ関連うつ障害」ともいうべきでしょう。コロナウイルス感染に関連したうつ症状のことらしいです。らしいといったのは、「コロナうつ」はあくまでも俗称で、学会で認められた名称でも何でもないからです。
しかし、毎日診察をしていると確かにコロナに関連したうつ障害は増えてきています。「コロナうつ」はいくつかのタイプに分類できると思います。
①新型コロナ感染症に伴う経済被害を原因とするもの ②リモートワークなど新型コロナ感染症に伴う環境変化によるもの
③休校や在宅ワークなどにより子供や家族が家にいることによる主婦のストレス増加を原因とするもの
④新型コロナ感染症にかかってしまい重症化するのではないかといった不安からくるもの
などです。
1番目の経済的被害によるうつは、かなり深刻です。かつて3万人を超えた自殺者は、様々な対策により2万人程度まで減少してきました。しかし、これは種々の対策の成果というよりはリーマンショック後徐々に景気が回復してきたという経済的要因が大きかったというのが専門家の評価です。その論理からすると、新型コロナによる経済不況により自殺者が急増する可能性は大きいと思います。今後の統計の解析結果を待つ必要がありますが、今後1年間の自殺者数の動向は注視していく必要があると思います。
2番目。最近は在宅ワークにようやく慣れて生活リズムが確立されてきたのに、また元のように出勤しないといけないという会社は少なくありません。政府はテレワークを推奨していますが、非常事態宣言解除後は従来通り出勤しなくてはいけない会社は多いのです。特に、上司のパワハラに悩んでいたうつの患者さんなどは、ようやく嫌な上司から解放されたのに、再び上司のパワハラにさらされなくてはいけない、この反動は大きなストレスです。ようやく在宅ワークで職場復帰できたのにまた休職になってしまうのではと不安をいだく人も少なくありません。
3番目の主婦のうつ。これも心あたりがある人は多いのではないでしょうか?これまでは、よく夫が定年退職後家にいるようになりそれが原因でうつになる人や、夏休みこどもが家にいることがストレスといっているお母さんたちがいましたが、今回はそれが、全世代にわたり起こっている印象です。昼間の時間は一人になり、その間に英気を養っていた主婦の方々がその時間を奪われ一日中家族の面倒を見ないといけない。朝晩だけではなく昼ご飯の用意もしなくてはいけない。これはサラリーマンでいうと残業時間が増えたのと一緒です。こうした環境変化により精神のバランスを崩す方もいるのです。
4番目は、疾病恐怖ともいうべき状態です。これまでは、がん恐怖症が代表的だった心気症状に新型コロナ恐怖症が加わった印象です。コロナが怖くて外出ができない、人と接するのが怖いという症状で、もともと心気傾向(病気ではないのに病気が不安になること)の強い方は、この状態に陥りやすいようです。
ではこうした「コロナうつ」に打ち勝つには、どうしたらいいでしょうか?私は自衛策として、朝の散歩を実行しています。夜の街を敬遠しているうちに、すっかり早寝早起きになってしまいました。
朝の日の光を浴びると、体内時計のスイッチが入り睡眠覚醒リズムが整えられます。これにより快眠が得られ、寝つきに苦労することはなくなりました。またウオーキングなどの有酸素運動は鬱にも有効です。こうした意味から朝の散歩は三文の得というか一石二鳥です。秋から冬にかけ、新型コロナウイルス感染症の第二波が予想されています。これからもいろいろな工夫でこの難局を乗り切っていきたいと思っています。
みなさんは、どのようにこの災難を乗り切っていますか?