梅雨入りしました
こんにちは、院長の阿部哲夫です。
梅雨ですね。前回も書きましたが、苦手な季節です。あまり梅雨が得意という方にはお会いしたことがないので、苦手な人は多いのだと思います。また、低気圧の関係か体調を崩す方も多く、同時に気分がすぐれなくなると訴える方が増える時期です。梅雨明けの青空を楽しみに何とかこの時期を乗り切りたいものです。
先日、ミセスグリーンアップルの「コロンブス」という曲のミュージックビデオ(MV)が、人種差別的であるとか、コロンブスの現在の歴史評価に対して無知であるといった理由でネット上で批判され、公開が中止になったという記事を見ました。確かに、歌詞には明らかな差別的な表現はないものの、コロンブスを肯定的な比喩に使うなどやや歴史認識の甘さがあり、更にビデオの内容は問題外であるといわざるを得ないものでした。今ではコロンブスのアメリカ大陸発見という言葉自体が、西欧文明から見た差別的表現とされ、コロンブスのアメリカへの上陸がこれ以後のスペインによる先住民の虐殺などの端緒となったと否定的に評価されていることは、周知の事実です。
ここで私が不思議に感じたのは、ミュージシャンやその周辺の人々がこうしたことに気が付かなかったことです。つまり、多くのこの楽曲にかかわった人たちが政治や歴史について興味関心を持っていなかったということです。当然こうした歴史認識や人種差別への関心を持っている人が関わっていれば、こうしたMVが制作され放送されることはなかったのだと思います。1ミュージシャンがこうしたことを知らなかった、あるいは想像できなかったのではなく、かなり多くの人がこうした問題に無関心だったことに驚きました。
これと対照的なのは、ブルーハーツの「青空」という曲です。デイケアの課題曲としてミュージックアワーの中で練習したのでご存知の方も多いと思います。「ブラウン管の向こう側カッコつけた騎兵隊がインディアンを撃ち倒した」というフレーズから始まるこの曲は、あきらかにこうした差別意識や先住民に対する暴力を否定するメッセージを伝えています。そして、差別される側の心情を自分の問題として歌い上げている名曲です。音楽関係者ならこの曲を知らない人はいないでしょう。こうした名曲があるにもかかわらず、コロンブスのMVが制作されてしまったことに失望を覚えました。かつては、多くのミュージシャンがただ恋愛の歌を歌うだけではなく、音楽を通じて政治性の強いメッセージを発信してきました。今の時代はそうした姿勢は流行らないのでしょうか?
今東京は知事選の真っただ中ですが、投票率はどのくらいになるのでしょうか?前回は55%、前々回は59%と決して高いとは言えない数字でした。こうした政治や歴史への無関心は、現在の状態の無条件な肯定につながり、いずれは自分たちに大きな災難となって降りかかってくるのだと思います。歴史問題や差別問題などの政治的問題に少しでも関心を持ち毎回選挙に行けば、政治家もより有権者の視線を意識した政治を行ってくれるのではないでしょうか。我々が政治家を監視するという意味においても選挙はいくべきなのだと思います。皆さんは今回の都知事選挙、投票にいきますか、それとも棄権しますか?