挑戦の季節

Tetsuo Abe

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4月です。つい先日新年を迎えたと思っていましたが、時の流れは早いものでもう4月です。桜も咲き、本格的な春ですね。ただ、多くの人々にとっては花粉の季節で、体調がすぐれず、早くこの時期が終わってほしいと願っている人も多いのではないでしょうか。今年は特に花粉の飛散量が多く、花粉症も重症と聞きます。

4月は言うまでもなく新年度の始まりです。入学する人、入社する人、転勤になる人など生活環境の変化が大きな時期です。こうした時期は、知らず知らずのうちにストレスをため込んでしまい精神的不調にも陥りやすい時期です。このためこの季節は、気候変動が多い季節の変わり目とも重なり、患者さんが増えたりあるいは症状が悪化する時期です。これまでに、この時期に精神的不調を経験したことがある方はご用心ください。

私自身は、日々の診療では大きな環境変化はないのですが、今年は医師会の役員を降りました。少しこうした時間を自分の時間として使っていければと考えております。役員としては荒川区医師会の理事を6年間務めさせていただきました。2019年6月に就任したので、就任後半年余りでコロナ禍に突入してしまい、理事としてはあまり自分自身の専門分野での活動は十分にできたとは言えませんでした。しかし、その中でも医師会内での認知症対策や物忘れ健診事業への協力など微力ながらも貢献できたのではと自負しております。皆さんは、医師会の理事の仕事の実際について知る機会はないと思いますが、意外と多忙です。月に2回は理事会があり、担当の委員会も月に3回程度あります。この他、地区の部会にも参加しないといけないので、最低でも月に6回は新三河島にある医師会会館に夜間出向かなくてはなりません。一回の会議は30分から1時間と短いのですが、月に6回診療後の夜間に駆り出されるのはさすがに体にこたえるようになってきました。そのために今年度で退任することにしました。従ってこの役目も今年の5月いっぱいでお役御免です。

今はこの時間とエネルギーを何に使おうかと思案中で、それを考えるのが楽しみのひとつになっています。夜時間ができたからといって、飲みに行く回数が増えるだけではあまり建設的とは言えません。かといって、急に新しい習い事を始めるのもためらいます。ただ、少し重荷を下ろしたことで、何か新しい活動ができるのではとわくわくしています。一つは、ライブハウス通いです。今は推し活なるものが流行っているようですが、ライブハウスには売れないミュージシャンの宝庫です。彼らの音楽に対する情熱は、作られたアイドルとは比べようもないものがあります。大袈裟に言えば、自分のアイデンティティつまりは人生をかけている人たちがたくさんいます。こうした日の当たらない音楽家たちを応援したいと思っています。もう一つは美術鑑賞です。アートの世界も売れない芸術家は山ほどいます。草間彌生や奈良美智も昔は売れないアーチストだったのだと思います。そうした売れない芸術家たちの作品を購入して少しでも彼らの生活の糧になればと思っています。売れない日本の芸術家たちを応援して、大袈裟ですがすこしでも日本の文化のレベルを上げることに貢献したいと考えています。三番目はスポーツです。前号ではスキーについて書きましたが、これまで続けてきたテニスだけではなく、ダイビング、山歩きやドライブなど自然と親しむスポーツを復活させたいと思っています。

春はこうした新しいチャレンジの季節なのだと思います。環境の変化に慣れるストレスの季節と考えるのではなく、新しい挑戦の季節と思えば少しは前向きになれるのではないでしょうか?少なくとも私は、新しい挑戦にわくわくしています。