鬼は外
こんにちは、院長の阿部哲夫です。
2月になりました。まだまだ寒い日もあり、朝晩の冷え込みは体にこたえます。しかし、三寒四温とはよくいったもので、暖かな日もあり春が確実に近づいている気配を感じます。
最近の節分は、豆をまいても消費につながらないせいか豆まきよりも恵方巻が主流のようです。今年は正月早々、地震や飛行機事故があり、また去年からの自民党闇献金問題、松本人志問題など暗いニュースばかりです。しかし、こうした災害や災難不祥事が続くのであれば、やはり豆をまいて邪気を払いたいものです。
能登の地震には驚きました。被災地の被害は大きく、毎日のように避難所の様子が報道されると、いかに普段の我々の生活が電気・ガス・水道といったインフラに支えられているかがわかります。つい150年前までの日本では、こうした設備はなく生活していたはずなのですが、いまや我々はこうした設備がない生活はつらく厳しく感じてしまいます。この地震をきっかけに、いろいろなところで防災対策が話題になっています。私の家でも、避難所生活となったらどうするかと家族が急に不安となり、携帯トイレや避難所用の簡易ベッド、非常食、飲料水などを買いそろえました。おかげで収納場所もなくモノがあふれてしまい、すでに我が家は避難所の様相を呈している有様です。こうした防災対策は医師会や区役所の会議では必ず取り上げられる話題です。私も、医師会の理事として防災委員会に関与しておりますが、まだ避難所における診療体制や医薬品の備蓄についは十分な準備ができているとはいえません。当院でも、診療中に災害が発生した場合の避難訓練は行っていますが、その後の診療体制については準備が十分ではありません。私は診療所からの徒歩圏内に住んでいるため、私は出勤できてもスタッフがどれだけそろうのか、薬局も開くことができるのかなどはまだ解決すべき問題が山積みです。もちろん実際に災害が起きた場合、インターネットや電気・ガス・水道などインフラがどの程度維持できているのかによって対策が変わるので、その準備は単純ではないと思います。当院のカルテはクラウド型のためネットがつながらない状態では、その機能を100%は使うことはできません。電気がなければパソコンも使えませんし、プリンターが稼働しないと処方箋の印刷もできません。こうしたことを考えると、以前の紙カルテの時代ならばまだましだったのかもしれません。しかし、今となっては後戻りもできません。電気ガスはおろかパソコンやスマホのない生活は生活自体が考えられないと思います。こうした便利な生活は、災害には非常に脆弱なのです。
こうした現状を考えると、我々一人一人が災害のための準備することが必要です。このようなときに有効なのは、薬の備蓄とお薬手帳です。薬を飲みすぎてしまう傾向のある方には勧められませんが、きちんと服薬管理ができる方には1週間からできれば2週間の薬の備蓄があるといいと思います。多くの皆さんは、薬が4-5日分余るとその分を処方から少なくすることを希望されますが、少し余った時は備蓄としてとっておいてもいいと思います。
今は薬剤自体が不足しているため、災害時には医薬品の供給が途絶える可能性が高いと思います。また、電子カルテが止まったとしても、お薬手帳があればどんな薬を飲んでいたかは確認できます。これをもとに、緊急事態であれば手書き処方箋を発行することは可能です。普段お薬手帳などは軽視されがちですが、こうした場面でも活躍できることを覚えておくといいと思います。豆まきもいいですが、防災は神頼みではなく自助努力も大切だと思います。この災害を機会に、皆さん地震などの災害時にはどのように行動し対策するのか考えておくことをお勧めします。一度家族で話し合っておいてもいいかもしれません。
(使用画像はAIによって作成されたものです)