管理人のつぶやき
皆さんは、「インシビリティ(礼節の欠如)」という言葉を聞いたことがありますか?
近年、職場やコミュニティのメンタルヘルスにおいて、このキーワードが注目を集めています。明確なハラスメントや暴言であれば、周囲も気づきやすく問題として対処が可能です。しかし、インシビリティはもっと些細で見えにくいものです。例えば、「挨拶をしない/しても無視をする」「話しかけられているのにスマートフォンから目を離さない」「不機嫌そうにため息をつく」「冷たい言葉遣いをする」「相手の人の気持ちを考えていないような言動をとる」といった、ぱっと見では「大したことがない」ように思えるかもしれませんが、される側が心がチクっと痛くなるような行動を指します。
最近は、AIをはじめネット社会がますます進化してくるに従って否が応でもスマホを操作する時間が長くなっています。心と身体が置き去りにされているような、ある種の「見えない疲れ」が溜まっている方も多いのではないでしょうか。そうした余裕のなさが、悪気なくこのような態度を生んでしまうこともあります。
しかし、受け取った側にとっては「自分が何か悪いことをしたのかな?」と自分を責める原因になります。この「小さなトゲ」は、チクチクと確実にこころを削り、蓄積すると大きなストレスとなって心身の不調を引き起こしてしまうことがあります。
このインシビリティを防ぎ、こころを守るための特効薬となるのが「心理的安全性」です。「ここでは自分の気持ちを安心して表現できる」「ありのままの自分でいても攻撃されない/笑われたりしない」と感じられる精神的な居場所のことです。この心理的安全性が守られていないと、心身の不調をもたらしてしまうことさえあります。
では、どうすれば心理的安全性の高い、居心地の良い環境を作れるのでしょうか。第一歩は、自分自身が勇気を出して一歩踏み出すことが必要です。日常のほんの小さな思いやり、例えば「相手の目を見て挨拶をする」「何かをしてもらったら”ありがとう”と伝える/何か失敗をしてしまったら”ごめんなさい”と素直に伝える」「意見が違っても否定から入らない」などの行動が、ひいては自分自身の精神的な安定、つまり自分の身を守ることにつながってくるのではないかと思います。
デイケアでの活動をはじめ、職場などの日々の生活におけるコミュニケーションスキルにおいて少しでも意識ができたら、自分が過ごす毎日の環境も心地が良い環境へと変化してゆくのではないかと思います。
誰でも、心に余裕がない時はつい無愛想になってしまうものです。だからこそお互いの不完全さを認め合いながら、少しずつ「小さな思いやり」を交わし合える。そんな温かい繋がりを、一緒に育んでいけたらいいなと思います。




