スタッフ・リレーエッセイ

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ついこの間、新年を迎えたと思ったら、もう3月。みなさん、お久しぶりです。あべクリニック訪問看護ステーションの嘉藤です。

今回は、我が家の3月についてお話しさせていただきます。世間では梅の花が咲き、桃の花も咲きつつある、麗らかな季節となりました。また、「卒業」や「旅立ち」を迎える季節かと思います。我が家の3月を象徴する言葉と言うと、ここ10年ほどは「転勤」です。かつては家族総出でこの季節を駆け抜け、新しい街への期待と不安を詰め込んだ段ボールを運んでいましたが、今は少し様子が違います。長女の小学校入学をきっかけに越して来たこの我が家。腰を落ち着けて生活をしていこうと選んだこの家に、私と娘2人を残して、夫だけが単身赴任の新天地へと旅立って行きます。

外では責任のある立場として気を張っている転勤族の夫ですが、我が家の2人の「姫」たちは、春の麗らかな陽気のように至ってマイペースです。夫が異動の内示を伝えても「ふーん。どこ?遠いね。」と、視線はスマホに向けられたまま。

かつては、駅や空港まで見送りに行き、「パパ、次はいつ帰って来るの?」「また、3人の生活が始まるね。」と、ホロっとさせることを言っていた娘の面影はどこへやら…夫が1人で黙々と準備をする傍らで、娘たちは動画を見て笑ったり、バイトの話で盛り上がったりしています。そこには、旅立つ父への「心配」や「名残惜しさ」と言った湿っぽさは微塵も感じられません。完全ドライな「Z世代」です。

しかし、この「冷やかさ」こそ、夫が長年かけて築き上げてきた平和の証なのかもしれません。「姫」たちが将来を案ずることなく、ドライに自分の春を謳歌できているのは、夫が「我が家」と言う揺るぎない土台を築き上げてきてくれたから。一心に、我が家を守り続けてくれたからでしょう。父が外で働いてくるのは当たり前の日常であり、その絶対的な信頼感ゆえの「無関心」…夫も、それをわかっているのか、寂し気ながらもどこか誇らしげに準備を進めています。

また、いつものように「じゃ、行ってくるねー」と、コンビニへでも行くかのような言葉と「いってらー」と言う返し。淡々と、あっさりとした別れの感じが最近の我が家の別れの挨拶です。昔のような名残惜しい感じもなく、本当に淡々と。娘たちはいつもと変わらない日常に戻っていきます。主の居なくなったこの家は、やや寂しい感じもありますが…

また巡ってきた何回目かの3月をこのように過ごしています。慣れない土地での生活に、責任のある仕事を担う夫の事が心配ではありますが、無理せず健康で任務を全うして欲しいなと思います。

家族の物理的な距離が少しだけ広がる3月。それは寂しさだけではなく、それぞれの場所で自立し、新しい季節を始めるための必要な時期なのかもしれません。次に夫が帰って来るのはいつ頃になるのかはわかりませんが…その時は、3人そろって笑顔で、夫が「帰って来て良かった。」と思える「安らげる場所」を準備して、娘たちと迎え入れたいと思っています。