夢の対決

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2023年になりました。素数のなかでも特に23という数字が好きな筆者は、良い年になりそうな予感がしています。新年早々、誰にも望まれていない将棋界の話題で失礼します。新年から将棋ファンの中で大きな話題として盛り上がっているのが、「王将戦」です。

天才棋士の藤井五冠と、同じく天才棋士であり、今やレジェンドでもある羽生善治永世七冠の初のタイトル戦での対決、ファンにとってはまさしく夢の対決となっております。長年の羽生ファンとしては、現在、無敵を誇る藤井五冠が相手であっても、羽生さんに勝ってほしいです。ただ、こと将棋に関しては、運の要素がかなり少ない勝負事です。私も少ないながら行った将棋センターで実感しましたが、研究と読みの深さで優劣がつきやすく、 プロ棋士においてはさらに厳格なまでの優劣があります。

ときおり藤井五冠の特徴が話題になることがありますが、全盛期の羽生永世七冠同様、深く読み、その中で他の棋士でも見つけられないような最善手を指している、としか言えないのだと思います。最近はAIが発達し、人間よりも正解に近い着手を見つけ出すことが常識となってきていますが、藤井五冠は最善手を見つける能力がずば抜けていること、「悪手」と言われる大きなミスをしないことがAI評価からも明らかです。

そういった意味では残念ながら羽生永世七冠が勝つ可能性はかなり低いと思われます。ただ、ときにAIの何億手の読みよりもさらにその先の一手を指せる、羽生さんです。たとえ可能性は薄くとも何かしら劇的なことが起こるのではないでしょうか。それこそAI超えの手を繰り出す藤井五冠相手では大変ですが、ともかく美しい棋譜が出来上がることを楽しみにしております。