闇は光の母

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いきなり春らしくない話題を一つ書かせていただきます。最近は、絵本も子供向け、というだけではなく、大人も読めるような内容のものあるようです。先日、ETV特集「ぼくは しんだ ひとりで しんだ 谷川俊太郎と死の絵本」という番組を見ました。90歳になった谷川俊太郎さんが出版した「ぼく」という子供の自死について扱った絵本です。

絵本のイラストは合田里美さんという若手イラストレーターが描いており、全イラストに対して、ラフの段階から谷川さんも積極的に意見を出されている様子が紹介されていました。そして、そんなこと自体が珍しいことだそうです。若い合田さんに決して偉そうに意見するのではなく、真剣に向き合ってイラストを洗練させ、ときには自身の言葉も変更していく様は、とても90歳になられた御仁とは思えませんでした。

圧倒的な情熱を持ちながらも、驚くほど考え方が柔らかく、同時に、相手に対する思いやりや、尊敬の念を感じるような接し方で、あらためて谷川俊太郎という詩人の度量の大きさや深さに感銘を受けました。詩人が本当の意味での言葉の専門家だからでしょうか、それともやはり谷川俊太郎さん特有の才能なのでしょうか、世間を知らない私には判断がつきませんでした。

内容の全貌は、何せ絵本が売り切れで購入できませんでしたので、この絵本も含まれている、「闇は光の母」シリーズの一冊を購入してみました。

「ほっきょくでうしをうつ」という探検家・角幡唯介の実体験をもとに書かれた絵本です。こちらもなんとも素晴らしい内容でした。大人はもちろん心動かされましたが、14歳になる子供に見せてみると、時間を置いて、「トラウマ級に良かった」との感想でした。

上記番組の中でも谷川さんが語っておられましたが、今の時代は「何かが分かる」あるいは「分かった気になる」ことが多いように思います。Google先生は、検索ワードを打てば何でも答えてくれます。それが正解かのように。しかしながら本来は、「問」は「問」のままでも良い場合があります。簡単に答えを見つけないこと、分かった気にならないこと、そして、「問」を自分で作ることが、現代においても、意外と必要な思考法なのではないでしょうか。