新しい生活様式

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こんにちは。院長の阿部哲夫です。 
コロナ禍にて、健康面や経済面などさまざまな被害を受けた方々も多いかと思います。お見舞い申し上げます。
過ごしやすかった春の陽気から、梅雨が迫ってきています。梅雨は、あまり好きな季節ではありません。毎年この時期をいかに乗り切るか工夫をしているのですが、なかなかこれはという方法に巡り合っていません。ただでさえ自粛で外出が減ってしまうことも多く、天候がすぐれないとどこにも行けません。室内の外出先もまだ閉館していたりで、家で音楽を聴いたり、読書で過ごすしかないのでしょうか?

先月末に、緊急事態宣言が解除されました。その反動か、夜の居酒屋をのぞいてみるとどの店も満席に近い賑わいです。こうしお店にしてみれば、お客さんが殺到してくれなければ、今までの自粛要請で落ちた売り上げを取り返せないのでしょう。しかし、居酒屋で皆マスクも外し、近距離で談笑しているのを見ると、大丈夫かなと不安になります。

政府は、コロナウイルスとの戦いは長期化すると予想し、コロナと共存する新しい生活様式を提唱しています。「食事中は話をしない」、「人との距離をできるだけ取る」など、守ることが難しい項目が並びますが、これからコロナウイルスに感染せずに、かつ厳しい自粛生活をしないで乗り切るには、生活様式を変えていく必要があるのでしょう。

自粛生活の中での、わたくし自身の生活の変化は、なんといっても夜の活動が無くなったことです。以前は夜に会合や講演会があったり、あるいは休日の前の晩などは、近隣の居酒屋などをはしごして飲み歩いたりの生活でした。しかし、自粛生活が叫ばれた緊急事態宣言発令前から、3月中旬にはこうした夜の活動は全くしなくなりました。仕事が終われば家に直行し、家で食事をして、早々にベッドにはいる。感染予防のためにも、休息が大事と早寝早起きの生活になりました。

起床時間が早くなると朝の時間を持て余してしまうようになります。テニスコートやスポーツジムが閉鎖されて運動不足になるため、毎朝散歩をするようになりました。毎朝、自宅から上野まで電車で移動し、上野公園から日暮里まで音楽を聴きながら早歩きで歩いています。所要時間はおおよそ30分、朝のすがすがしい空気を吸いながら、上野公園の木々の緑を堪能しながらの散歩は、ほんとうに楽しみの一つになりました。緊急事態宣言が解除されても以前の生活に戻ることなく、この習慣は続けていきたいと思っています。

上野公園を散策してみると、いろいろな発見があります。これまでも上野公園は月に最低でも一回は訪れていたのですが、それでも初めて見つけるものがたくさんあります。皆さんは、上野公園の中に野口英世の銅像があることはご存知ですか?その銅像は、科学博物館の中にひっそりと建っています。世界が病原体で苦しんでいるこの時期に、野口英世の像を見つけるのも何かの縁ではないかと見入ってしまいました。また、コルビジェが設計した世界遺産、国立西洋美術館の建物も圧巻です。今は閉館中で、垣根の外からしか見ることができませんが、その造形の美しさは何回見ても見飽きることがありません。毎日世界遺産を見ながら通勤できるのは贅沢の限りです。また、前川国男設計の東京文化会館も60年前の建築とは思えないモダンさです。奥にそそり立つ石垣のようなホールの部分?が本当にかっこいい。このほか、東京芸大の旧奏楽堂や国際子ども図書館、国立博物館など、歴史的建造物も数えきれないほどあり目を楽しませてくれます。

こうしてみると、新しい生活様式も悪いことばかりではありません。当院でも、オンラインでの初診を始めました。精神科の薬が出せないことや、処方は1週間が限度など様々な制約があり、あまり実用的ではない仕組みですが、これから一般的なものになっていくのかもしれません。こうした新しい診療形態が普及するのも怪我の功名かもしれません。これから、コロナと共存する社会がどのように変化するのか、まだ見通せないことが多々ありますが、当院なりの新しい生活様式を作っていきたいと思っています。