夏の気候ですね

Tetsuo Abe

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こんにちは、院長の阿部哲夫です。
まだ梅雨明けにはなっていないようですが、7月に入り夏の日差しを感じる日が何日かありました。最近は、季節が少しずつずれているのか従来の季節感が通用しなくなっている気がします。梅雨明け前からこの暑さでは、本格的な夏に入るとどうなるのかと恐ろしくなります。

話は変わりますが、7月10日は当院の開院記念日です。早いもので当院も開院して丸26年が経ちました。7月の初めは、入谷鬼子母神の朝顔市があります。朝顔市の季節になるたびに当院の開院のころを思い出します。開院当初は、受付一人に医師は私一人だけでした。長年通われている患者さんはご存知かもしれませんが、外来のスペースも20坪もなく、今の外来の半分もない面積しかありませんでした。開院当初は、事務も不慣れで私も診療所の診察に慣れていなかったため、1週間働いただけでへとへとになった記憶があります。いまは、医療事務受付のスタッフだけでも7人いて、しかも多くの職員が当院に長年勤務しているか他院での医療事務の経験があるスタッフばかりです。それだけでも隔世の感があります。

なんでこんな話を書いているかというと最近区役所の保健師さんの有志から、あべクリニックの歩みについて講演の依頼があったからです。最近は多忙すぎるので講演の依頼は基本断っているのですが、地域の保健師さんからの依頼とあっては断れません。当院の機能や特色について理解してもらうことは地域の精神医療に役立つと思い引き受けることにしました。当院の26年の歴史は多機能化の歴史です。多機能型精神科診療所というのは錦糸町クボタクリニックの窪田先生が盛んに提唱している精神科クリニックの形態です。つまり、外来機能だけではなくデイケアや訪問看護、あるいは就労支援事業所を併設しているクリニックを指します。振り返ってみると、当院も多機能化を意図してデイケアや訪問看護を始めたわけではないのですが、地域のニーズや自分の診療に必要な機能をつけ加えているうちに今の形態になったことに気が付きました。こうした多機能のクリニックを作ろうと意識したのではなく、必要に迫られていろいろな機能を付け加えていったら今の形になったということです。

たとえば、当院は2015年9月に認知症疾患医療センターとして東京都から指定を受けたのですが、認知症の診療をしているとどうしても訪問診療を行わざるを得ない状況になりました。精神症状のある認知症の患者さんの中には少なからず外来通院が困難な患者さんたちがいたからです。しかし当院の訪問診療は外来をやりながらのため、一人の患者さんに月一回の訪問診療しかできません。そうするとその間の状態を支えるためには、どうしても訪問看護が必要になります。このために2021年4月に訪問看護ステーションを併設しました。このように必要に迫られて多機能化してきたというのが実態です。

しかし、多機能化してきてみると患者さんを支えるネットワーク機能が充実しより重症の患者さんや患者さんの様々な要望にも対応できるようになったと思います。多職種の専門スタッフをそろえることができカウンセリングや就労支援、復職支援など他のクリニックにはない機能を持つことができるようになりました。これからもあべクリニックは多機能化した強みを生かして地域の精神科医療に貢献していければと思っています。これからも当院のこうした機能をぜひご活用ください。