春ですね
こんにちは、院長の阿部哲夫です。
3月になり暖かい日も徐々に増えてきました。温暖化のせいで今年も桜が早く咲きそうです。気候変動で困っている方もいるのかもしれませんが、暖かくなる季節が好きなので春が早く来るのは少し得をした気分です。この季節沈丁花の花の香りをかぐと今でも大学受験のころを思い出します。香りと記憶の中枢が近くにあるため香りと記憶はむすびつきやすいのだと何かの本で読んだ記憶があります。
最近のニュースは何か悲惨な事件が多く、見るたびに落ち込んだり嫌な気分になったりすることが多いので最低の情報だけ得るように心がけています。しかし、そうして嫌なニュースを避けていても児童の虐待やいじめのニュースは耳にすることが多いです。先日も親が子供に抗精神病薬を飲ませた挙句に殺したという事件が報道されていました。
こうした虐待の報道を見ると何か絶望的な気持ちになりますが、先日、電車の車内である夫婦が一生懸命ミルクを作っている光景を目にしました。よくよくみるとベビーカーの中のお子さんは重度の心身障害をお持ちのお子さんでした。たぶん自力ではミルクを摂取することが困難なのか、チューブにつながれたミルク容器にミルクを作り与えていました。しかもこのご夫婦は、こうした行為をごく日常の行動といった感じで談笑しながらの作業をしていました。五体満足な子を虐待して、ろくに食べ物を与えず死に至らせる夫婦がいるかと思えば、自力でミルクを飲むことすらできないわが子を一生懸命育てようとしている夫婦がいる。この光景を見て、やはり人間には子供を愛し大事に育てようとする本能が備わっているのだと何かほっとして安心しました。こうした光景を見て感じるのは、虐待をするような親はごくごく一部なのだということです。この夫婦の光景を見て昨今のニュースでささくれだった心がすこし癒された気がしました。
また、こうしたニュースが流れると、抗精神病薬は命にかかわるような危険な薬だと思われがちです。しかし、適切な量を飲んでいる限りはこうしたことは決してありません。長期にわたって服用しても安全性が確認されている薬がほとんどです。ただし、薬は抗精神病薬にかかわらずどの薬もそうなのですが、まれに肝臓や腎臓に負担をかけてしまい肝機能障害や腎機能障害を引き起こしてしまうことがあります。こうした副作用がないかどうかを確認するには定期的な血液検査が必要です。このため当院では、担当医のほうから定期的な血液検査をお勧めしています。内科でもないのになぜ血液検査をするのかと疑問に思われる方もいるかもしれませんが、こうした副作用を確認しているためにも血液検査を実施させてもらっています。
またごくごくまれではありますが不幸にして薬物による副作用で後遺症が残ってしまうこともあります。こうした場合については薬害の救済制度というものがあります。しかしこの薬害の救済制度を利用するには審査があります。こうした審査を通じて薬害の救済制度を利用するには定期的な血液検査をしていないと救済制度が利用できない場合もあります。万が一こうしたことが起こらないためにも、定期的な血液検査をお勧めいたします。もし担当医のほうで検査をお勧めすることがもれているような場合には、是非申し出ていただけると助かります。おおむね半年に一回のチェックをお勧めしています。
3月から4月にかけては、進学や就職異動など環境の変化が多い時期です。また花粉症もあり呼吸がしづらい目がかゆいといったことから、ストレスがたまりやすい時期でもあります。このために今の時期には精神的な変調をきたすことも多いのです。こうしたことがないように、睡眠や休養を十分にとりストレスや疲労をためないようにしてこの時期を乗り切っていただけるといいと思います。