ようやく、暑かった今年の夏も終わりに近づいてきた感じです。朝夕などは秋のひんやりとした空気を感じることができ、過ごしやすくなってきました。夏が過ぎていくのは何となくさびしい感じもありますが、秋の到来のうれしさのほうが、まさっています。
今の話題は、何と言っても東京オリンピックの招致成功です。くらいニュースばかりだった昨今を考えると、久しぶりに明るいニュースです。今から、マイナーな種目でもいいので観戦に行きたいと期待してしまいます。福島や被災地の復興が置き去りされているなどの批判はありますが、逆にオリンピックまでには復興を達成するという一つの期限目標と位置づけるほうが前向きだと思います。
7年後、我々はどうしているのだろうか?この問いかけは、誰もがしたのではないでしょうか?はたして、7年後の2020年のあべクリニックはどのような形態で運営しているか、想像してみるものの具体的なプランは浮かびません。しかし、7年前にはまだ現在の場所に移転していませんでしたし、リワークデイケアにも挑戦していませんでした。
当院の運営方針の一つは、時代の変化に対応して必要とされる医療を提供していくことでもあります。これまでも、電子カルテを導入したり、認知行動療法に取り組んだり、発達障害の治療もはじめたりと新しい取り組みには積極的にチャレンジしてきました。こうしたことを考えると、これからの精神医療がどういった方向に行くのかが、われわれの道しるべであると思います。現状にとどまることなく、医療の進歩に先んじるチャレンジをこれからも続けていきたいと思っています。
その一つが、運動療法の導入であろうかと思います。今、治療として積極的に運動を取り入れているクリニックは決して多くはありません。これからは、もう少しいろいろな測定機器も導入しながら運動療法をより充実させていきたいと思っています。これからオリンピック、パラリンピックの東京開催で、ますますスポーツへの関心が高まってくると思います。
招致のためのプレゼンテーションで、パラリンピストが言っていたように、スポーツは心の支えになるものだと思います。スポーツや運動を利用して、心の病気の治療に役立てていく、これはきっと大きな動きになると確信しています。かくゆう私も、週に二回のテニスができなくなったらと考えるだけで心が暗くなるほどです。家族からは、テニスをやりすぎと怒られてばかりですが、こればかりはやめられません。やめたら、うつ的になってしまうと思うからです。こうした小さな事実を考えても、スポーツが精神疾患の予防効果があることは自明だと思います。
また、逆に日ごろからスポーツや肉体労働に親しんでいる人にはうつ病は少ないという印象を持っています。たとえば、当院を受診している人で現場の仕事で肉体を使う仕事についている方の割合はかなり少ないと思います。逆に、IT関係や一般の会社の方などの割合は少なくありません。こうした事実を考えても、日ごろからプライベートでも仕事でも肉体を使うことは精神衛生上重要だと思います。こうした観点からも、運動を治療に取り入れていくことをこれからも推奨していこうと思っています。
これからは食欲の秋であると同時にスポーツの秋でもあります。みなさんもこれまでスポーツをやってこなかった人はぜひ何か新しい運動を始めたらいかがでしょうか?またこれまでやってこられた方も、これまで以上により充実させてはどうでしょう。きっと何かメンタル面でのプラスがあると思います。