師走です

Tetsuo Abe

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気が付いたらもう12月、師走です。しかし今年は気候のせいか、あるいは夜の巷に出かけることが減ってしまったせいかあまりクリスマス気分が盛り上がりません。商店街に流れるクリスマスソングも何か場違いに感じてしまいます。このように感じているのは私だけでしょうか?

先月11月末に、毎年のデイケアの恒例行事の一つであるファンファン祭りがありました。ファンファン祭りはデイケアにおける文化祭的なもので、これまでにデイケアプログラムで作った作品の紹介をしたりミュージックアワーという音楽プログラムの成果を発表したりしています。今年はコロナの影響も薄れ、作品発表だけではなく、パフォーマンスの発表も実施しました。それぞれが弾き語りや歌唱の発表があり皆で盛り上がりました。意外な人が意外な曲を選択していたり、作詞作曲して妻との日々を歌にしてうたう人がいたりとメンバーの様々な一面を垣間見ることができます。私自身毎年楽しみにしています。とくに最後のミュージックアワーのパフォーマンスは 1年間練習してきた歌や演奏の集大成です。デイケアのメンバーが、生き生きと歌ったり演奏したりしている姿を見ると、毎年思うのですが本当にデイケアをやっていて本当によかったとしみじみと思います。

診察の中で、ある患者さんが「今年はファンファン祭りのパフォーマンス部門に出場する。そのための練習が楽しみなので落ち込むことはない」と語っていました。この言葉を聞いて、薬やカウンセリングといった治療も大切ですが、こうした日々の生活の中に楽しみを見つけていくということはとても大切なのだと気が付かされました。特に音楽や趣味の作品つくりというのは、かなり精神安定効果があるのではないかと思います。嫌なことがあって落ち込んだり、何かネガティブな考えにとらわれて不安なっても、音楽の練習をしたりなにか趣味的なものに没頭したりすることで、その間だけでも嫌な思考にとらわれることから解放されます。この解放された間は、脳は嫌な考えからのダメージを受けることなくその苦痛から解放されます。うつ状態の時は、常にこうしたマイナスの考えが脳にストレスを与えるために、うつ状態が遷延化したり悪化したりしますが、こうした趣味や音楽活動は、その間だけでも意識を楽しいことに向けることができるのです。

趣味的活動が精神を癒すのはこうした脳を休める作用によるものではないかと思っています。それは運動も同じです、種々の原因でうつ状態になった時に運動に没頭することで嫌な思考から解放されます。私も少し気がめいった時は、趣味的なものに注意を向け夢中になったりスポーツに没頭して嫌なことを考えないようにしたりして気分が落ち込むのを避けるようにしています。すこしファンファン祭りからは脱線してしまいましたが、精神への安定作用が、音楽やものつくりや運動にはあると思います。私もファンファン祭りのパフォーマンス部門に少しだけ参加させてもらいました。以前は弾き語りなど練習して参加したりしましたが、最近は多忙にかこつけてすこしさぼっていました。メンバーが積極的に参加する様子を見て少しは見習わないといけないと自戒しております。来年こそはもう少し積極参加をしていきたいと考えています。

今年も何とか無事に年が越せそうです。これも皆様のおかげです、一年大変お世話になりました。来年もよろしくお願いします。