令和時代の幕開けですね

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こんにちは、院長の阿部哲夫です。
新元号が決まりました。「令和」だそうです。今は少し違和感や新鮮さを感じてはいますが、いずれ慣れると思います。しかし、平成ではなくなると思うと何か寂しさを感じます。以前にも書きましたが、わたくしにとっての平成は、30歳台前半から60歳台前半までの30年間であり、医師としての経験はほとんどがこの30年間に培われたものです。あべクリニックも平成9年7月に開業し、20年以上の歴史を重ねてきましたが、平成とともに歩んできました。平成の思い出は語りつくせませんが、自分たちが青春を送った昭和の時代はさらに遠いものとなった感があります。

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わたくしが、若手医師だった平成の初めころは、精神科医療といえば統合失調症の治療でした。そのころ勤務していた精神病院では、入院患者さんのほとんどが統合失調症の患者さんで、長期入院している方がほとんどでした。中には、10年あるいは20年入院しているといった長期在院の患者さんも大勢いらっしゃいました。

新規で入院しても、治療には半年から1年をかけて治療することが珍しくなく、幻聴や興奮といった症状を抑えられても、活動性の低下や意欲の低下、感情鈍麻といった陰性症状を残す患者さんがほとんどでした。そのために、入院治療後社会復帰させるといっても、様々な障害があり就労や学校への復帰といったことが難しかった記憶があります。しかし、今は統合失調症の患者さんがいらしても、すぐに入院治療が必要な方は多くはありません。当院が、外来のみの診療所であるせいもありますが、激しい症状を呈する方は多くはなく、薬物治療により外来のみで治療可能な方がほとんどです。

薬物治療の進歩も、目覚ましいものがありました。現在では、統合失調症の治療薬は、非定型抗精神病薬が主流で、ハロペリドールやクロルプロマジンといった定型抗精神病薬が使われることはほとんどなくなってきています。非定型抗精神病薬の特徴の一つは、過度の鎮静がないことにあります。このために、幻覚妄想を改善するためには、かなり鎮静させるほどの薬を使わないといけなかったこともあり、薬の副作用のために過度にぼーっとしたり、ひどい便秘に悩まされたりすることが昭和の時代には普通でしたが、平成の時代になると、幻覚妄想を改善しかつ社会復帰できる患者さんが徐々に増えていったのです。

こうした流れの中、精神科医療は入院中心から外来治療が主流へと変わっていきました。こうした時代背景もあり、平成になると多くの精神科診療所が開設されました。当院もその一つです。また、最近ある有名な精神科病院が病棟を閉鎖するというニュースもありました。

もう一つの精神科医療の変化は、精神疾患の多様化です。昭和の時代は、精神分裂病とうつ病とてんかん性精神病、そして神経症を勉強すれば、精神科治療は可能といっても過言ではありませんでした。しかし、最近は発達障害や認知症をはじめとする器質性の精神障害や、双極性2型の躁うつ病やギャンブル依存やネット依存などの依存症など、対象とする精神障害の種類はどんどん増えてきています。

対象疾患の増加とともに、当然患者さんの数も増加してきています。精神科診療所も増えましたが、それ以上のスピードで患者さんの数が増えているために、1診療所当たりの患者数は減ってはいないと思います。

こうして振り返ってみると、平成という時代は精神科医療にとっても激動の時代だったと思います。次の令和の時代は、精神科医療にとってどのような時代になるのでしょうか?スマホを使った遠隔診療やAI(人工知能)の臨床への応用などが一般化するのでしょうか?認知症を根本治療できる薬物が開発されるのでしょうか?20年前、精神科医療の変化を予見できなかったように、10年20年先の精神科医療は今とは全く違ったものになっているのかもしれません。

未来を予見することは困難ですが、1-2か月先の当院の診療体制は予想可能です。ちなみに、今月からは新しく池田正明先生が金曜日午後診療開始予定です。また、新人の看護師さんや臨床心理士さんも入職予定です。少しずつですが、当院も時代に即応して変化していきたいと思っています。令和時代のあべクリニックもどうぞよろしくお願いします。