梅雨ですね

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こんにちは、院長の阿部哲夫です。
毎日湿度が高く、天候も雨がちです。梅雨だから当たり前ですが、気分が晴れません。たまに晴れた日があると、なるべく外出し運動するようにしています。こうした天候の時期は精神衛生上も悪いのか、毎年のように忙しくなってしまいます。皆さんは、この梅雨をどう乗り切っていますか?

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当院が開院したのは、平成9年の7月10日です。早いもので、まるまる19年がたってしまいました。振り返れば、あっという間でしたが、その間にはいろいろな出来事があり、語りつくせません。今のように、多くの患者様に利用していただける医療機関になるなど、当時は思いもよらないことでした。開院前は、千葉の田舎の病院に勤務していたので、この東京のど真ん中で、はたしてやっていけるのだろうかと、とても不安になったものです。当時は、メンタルクリニックは今ほどはポピュラーな存在ではなく、荒川区内では当院以外には2か所しかなかったと記憶しています。現在では、私の知っている限りでも区内には当院以外に8件の精神科診療所があると思います。

今では、精神疾患は5大疾病の一つにあげられるほど、ごくごく一般的な疾病になっていますが、私が精神科を志望した当時は、イメージは決していいものではありませんでした。その当時は、日本では「宇都宮病院事件」があり、世界から日本の精神医療の立ち遅れを糾弾された時期でした。精神科病院に行っても、クーラーもない畳部屋に患者さんが雑魚寝しているような状態でした。大学病院から出て、外勤先の病院での初めての当直の時に、同級生はいかにも医者らしいことをしているのに、自分はなんでこの道を選んだのかとの思いが駆け巡ったことを思い出します。

もちろん、こうした立ち遅れた環境はありましたが、私が精神科病院に勤務した10年余りの期間は、まさに日本の精神医療が近代化するときでした。精神保健法が整備され、強制入院をさせるには、精神保健指定医の診察が必要となり、身体拘束や個室への隔離にも、精神保健指定医の診察が必須になりました。それまでは、なんの経験もない研修医であっても強制入院を許可できていたのですから驚きです。病院も、毎年のように改築や増築がなされ、入院のアメニティーも改善されました。

当時は精神疾患も、統合失調症とうつ病と神経症くらいで、今ほど細かい分類や発達障害の概念も一般的ではありませんでした。私が医師になって30年以上たちます。ほかの科も進歩したと思いますが、精神科の進歩は目覚ましいものがあります。このため、以前よりも治療成績も向上していますし、多くの患者さんがその恩恵を得られていると思います。当院のような精神科診療所も、外来とデイケアを中心として、地域のネットワークを使い、多職種が協働することで、認知症疾患医療センターとして活動したり、精神障害の方の地域での定着を促進したり、あるいは休職している方の復職支援を行うような機能も担う事ができるようになってきました。

当院は20年目を迎えるにあたって、これまで以上に多機能型精神科診療所をめざして、職員一同最新の医療を取り入れつつ、地域精神医療を担っていきたいと思っています。これからも、20年目のあべクリニックをどうかよろしくお願いいたします。