こんにちは。
院長の阿部哲夫です。
春一番が吹き、ようやく春の訪れを感じるようになりました。これからは、趣味の谷中散歩が楽しみな季節です。梅雨入りまでは、桜の開花もありすごしやすくなって好きな季節のひとつです。しかし、花粉症の方にとっては憂鬱な季節ですね。外来でも毎日のように花粉症の薬を希望される方がいて、特に今年は症状が重いような印象です。あと、毎年書いているのですが、精神症状も悪化する季節です。これまで安定していた方でも、この季節は要注意です。理由ははっきりしないのですが、この時期になるととくにきっかけもなく症状が悪くなる方が増えます。気候的な変動の大きさも関係していると思いますが、この時期には無理をせずにやり過ごすことも必要かと思います。
最近診療していて気が付いたことについてお話ししたいと思います。ひとつは、睡眠の重要性です。多くの精神疾患には不眠が伴います。とくに多くのうつ病では、不眠を合併します。しかし、この不眠がさらに鬱を悪化させます。眠れないと脳の疲れは取れることなく持続し、いつまでたっても鬱状態は回復しません。むしろ悪化の原因ともなります。そのために、睡眠薬を使ってでも寝ていただくのですが、何割かの患者さんは睡眠薬でも睡眠が改善しない方がいます。
こうした患者さんの中には「睡眠時無呼吸」の方がいます。これは、寝ている間に呼吸が止まってしまう病気です。呼吸が止まって、血液中の酸素濃度が低下するために、睡眠が浅くなり中途覚醒をおこしたり、熟眠感が得られなくなります。睡眠の質が低下し、疲労が回復しないために鬱状態の原因ともなります。また、酸素不足を補うために、血流を増やそうとするために高血圧の原因ともなります。最悪、寿命を縮めてしまうことさえある怖い病気なのですが、意外とのその恐ろしさは知られていません。
このように、うつ病とは無縁ともいえない病気であるために、睡眠学会専門医である内田先生の指導の下、睡眠時無呼吸症候群の検査や治療もおこなっています。重症の方には、CPAP(持続陽圧呼吸)といって睡眠中にマスクを着けてもらい圧をかけて呼吸ができるようにする機器をつけて睡眠時無呼吸の改善を図っていきます。
この機器を装着することにより、睡眠時の呼吸が改善し熟眠感が増し、疲労が取れるようになります。睡眠の質が改善することで鬱状態に対して良い効果が得られることもあるようです。このために、睡眠障害の方がいたらこの「睡眠時無呼吸」の存在を念頭に入れて治療をするように心がけています。ひどいいびきがあり夜間途中でおきてしまう、あるいは熟眠感がないといった症状のある方は是非担当医にご相談いただければと思います。
最後に、お知らせがあります。4月からはすこし診療体制が変わります。現在「隔週月曜日」に外来を担当していただいている成田医師が、「毎週金曜日」の午前中診療を担当していただけることになりました。あと、「毎週火曜日」午前中の外来を、皆川医師が入職されて担当します。皆川先生は、女性の精神疾患や児童思春期の専門医です。もし診療ご希望の方がいらっしゃいましたら、担当医または受付までご相談ください。今後も診療体制の充実を図っていきたいと思います。よろしくお願いします。