こんにちは。
院長の阿部哲夫です。
毎年同じことを書いていると思うのですが、早くももう2月です。年が明けたと思ったら、もう2月の半ばで節分も過ぎてしまいました。そうこうしていると、年度末のあわただしい時期がやってきて、次は花見の季節です。日々の忙しさに追われていると、季節を楽しむ余裕もなくなってしまいます。今は、まだ冬の寒さも残り春が待ち遠しいので季節が早く移り変わるのは楽しみですが、春もあっという間に過ぎてしまうのでしょう。
最近、パソコンが古くなったので機種を変更しました。以前のものは、おそらく6~7年前のものだったと思います。しかし、最近はよくフリーズしたり不調が続いたので買い替えることにしたのです。しかし、パソコンにはあまり強くないのでデータ移行やメールの設定などを考えるとき、気が重くなりました。結局、詳しいの方に頼んでやってもらったのですが、いろいろな設定をやり直したため、作業終了まで5〜6時間かかってしまいました。たかだか、パソコンの入れ替えだけでもちょっとしたストレスを感じてしまいました。
たしかに、パソコンは非常に便利です。診療所でも電子カルテにすることで、省力化することができ、診療の質の向上に役立っていることは事実です。もはや、電子カルテなしでは当院の診療は成り立たないかもしれません。しかし、よくよく考えてみると当院が開院した当時は、まだ紙のカルテでした。わずか、15年前のことです。それから5、6年後には電子カルテが急速に普及し、当院も電子化に踏み切りました。カルテを電子化すると診療と同時にパソコン入力もしなくてはいけないために、どうしてもパソコン画面をにらみながらの診察となってしまいます。カチャカチャとキーボードをたたく音も気に障ることも事実です。しかし、過去の処方を調べたり、過去の記事を検索するなどの機能に優れていますし、筆記するよりも多くの情報を記録できるなどの利点があり、診療にはなくてはならない存在となっています。
しかし、その一方では、何よりも停電時には全く使えないことや、電子媒体での記録のために、情報の管理が難しいことなどの様々な重大な欠点もあります。そうした欠点は分かっていても、おそらくもう後には戻れないと思います。それでも、紙カルテを使用している診療所も少なくはありません。しかし、当院ではもうその便利さに依存してしまっているために、もうやめられません。こうして考えてみると、なにか薬物依存やアルコール依存の構造と同じだと思い当りました。もちろん、違法薬物や過度のアルコール摂取とコンピュータを同列に論じるのは乱暴かもしれません。しかしわたくしも含め、効率を求めるあまり、コンピュータ依存の社会になっているのかもしれません。
今の社会は、コンピュータに依存するあまり、心の余裕までなくしているのかもしれません。こうしたコンピュータ依存社会が自殺者が3万人という異常な状態を作っていると考えられなくもないでしょう。たかがパソコンの入れ替えに振り回されている自分をみていると、現代社会そのものもパソコンに振り回されているのかもしれないと考えてしまいました。これからは、コンピューターとの付き合い方を見直さないと10年後や20年後に自分の生活やこのクリニックの診療がどうなっているのか、ちょっと恐ろしくなりました。