こんにちは。院長の阿部哲夫です。
梅雨明けの宣言はまだですが、本格的に夏が近づいてきていることを感じられます。今は日も長く、夕方になっても明るくそれだけでも気分が少し軽くなる気がします。そこでついついビールを一杯と考えてしまうのは酒飲みの意地汚さでしょうか。しかし、この季節の夕暮れ時の雰囲気はいいものです。ビアガーデンが恋しくなる時期です。
早いものでこの7月で当院も開院20周年を迎えることができました。開院の日のことは昨日のように思い出すことができます。ちょうど、入谷の朝顔市の季節で、毎年、朝顔市のニュースを聞くたびに開院当初のことを思い出します。開院のころは、私と事務員1人だけでスタートしました。開院前は遠方の精神科病院に勤務していたので、特に初めから患者さんがいるわけでもなく、当初は毎日数名の患者さんを診る毎日でした。
しかし、そのころは近くに多くの神経科クリニックがなかったせいもあり、新しく受診される患者さんが多く来てくださいました。中には、重症の患者さんも少なくなく治療に少々苦労したこともありました。採血から入院の手配、心理カウンセリングなどすべてを、事務員(ケースワーカーを兼務)と二人でこなさなくてはならず、患者さんは少なくても毎日が忙しかった記憶があります。診察が終わるのが遅くなることも多く、毎日へとへとになっていた気がします。
こうした状況が続いたため、必要に迫られ開院して1年後には心理カウンセラーに来てもらうことにしました。そのカウンセラーが現在も勤務してもらっている土屋心理士です。その後は、太田心理士、武田心理士などが入職しカウンセリングルームの体制を整えてくれました。
デイケアのスタートは開院して3年たった時です。クリニックにデイケアを併設し、患者さんのリハビリテーションの一助とすることは、開院前からの夢でした。偶然にも、バブルがはじけたせいもあり移転前のビルの上の階が次々と空きました。このために、比較的スムーズにデイケアを開設することができました。また、デイケアの開設を手伝ってくれる経験豊富なスタッフにも恵まれ、あべクリニックデイケアはスタートすることができたのです。その後は、石井ワーカーや森岡PSW、佐藤PSWも入職し、デイケアも参加人数が増えていきました。当時はスタッフも私も若く、いろいろなことがありましたが、何とか乗り切ってくることができました。
平成20年には現在の場所に移転します。外来が手狭になったのと、リワークデイケアの必要性を感じたからです。9年前にはリワークデイケアは今ほどは世間に知られた存在ではありませんでした。しかし、休職中の患者さんの復職の難しさを経験するたびに、こうしたシステムの必要性は感じており、移転を機にデイケアにリワーク機能も併設したいと思ったのです。その後は、平成27年には東京都から認知疾患医療センターの指定も受け、荒川区の認知症対策の一翼を担う事業も始めました。
こうして当院の20年を振り返ると、必要に迫られて多機能化し、結果として多職種が協働する仕組みを作ってきた歴史ともいえます。いろいろな困難もありましたが、多くのスタッフや患者さんに支えられてここまでやってこれました。多機能化できたのも、幸運にもそれぞれの分野の優秀な専門職に恵まれたからだと思っています。その流れの中で、この6月には就労継続支援B型事業所であるスタジオ753も開設しました。これからも、地域精神科医療を担う多機能型精神科診療所として創立の初心を忘れずに、クリニックやデイケアそして作業所の運営にあたっていきたいと思っています。これからもよろしくお願い申し上げます。