こんにちは。院長の阿部哲夫です。
ハロウィンも終わり、いよいよ木枯らしも吹いて本格的な冬の気配を感じます。夜などはコートがないと不安に感じる日もあり、すこしずつ街もクリスマスの装飾が目立つようになってきました。今年もあと数えられる日数になったかと思うと、毎年ながら時間の経過が加速度を増していると感じます。
最近、めずらしく連続ドラマを観ています。定期的に観るのは苦手なので、毎週録画して暇なときに見ています。皆さんのなかには、ご存じの方も多いと思いますが「下町ロケット」というドラマです。下町とか昭和という言葉にはすぐに反応してしまうのは、年齢からなのか、ドラマの題に惹かれてみるようになりました。舞台は下町の中小企業の町工場です。中小企業の町工場が、大企業相手にその技術や情熱を武器に互角に渡り合い、時にはうち負かしてしまうと言うのが筋立てです。大企業の組織をバックに、威張っていたり権力を振りかざしたりする相手に、まじめにこつこつと技術を磨いてきた町工場が立ち向かっていく様子は、あたかも「水戸黄門」さながら勧善懲悪のストーリー展開もあって痛快です。視聴者の共感もあるのか第4回が終了しましたが、視聴率は回を追うごとに上がってきていて、現在放映中の連続ドラマではかなり人気の番組となっているようです。
このドラマを見ていると、どうも感情移入してしまいます。周囲にある大学病院や都立病院あるいは総合病院といった存在に比べると、当院はけっして大きな医療機関とは言えず、先進の医療機器がある訳でもありません。ただあるのは、スタッフの情熱と技術や経験だけです。しかし、異動や転勤の多い大病院に比べて、当院ではスタッフの定着がよく10年以上勤務しているスタッフは少なくありません。多くの部門で、当院に勤務して経験を長く積んで熟練しているスタッフが多数勤務しています。けっして待遇が特別いい訳ではないと思いますが、なぜか定着率が高く感謝しています。最近も、ベテランの看護師が一名事情により離職していましたが、再就職で復帰してくれました。また、非常勤医も大学の教授や准教授の先生を始めとして、若手の気鋭の医師など、多くの経験豊富な医師が勤務してくれております。私に至っては、他に行く訳にも行かず18年間荒川区日暮里の地で精神科臨床、地域精神医療を続けています。
「下町ロケット」を見ていると、当院の進むべき方向性がみえてきたような気がします。それは、大病院に負けない経験の裏付けのある医療を身近な存在として提供すること、地域に根ざした医療機関として機動力を発揮することだと思います。大病院の中にも、良い医師はたくさんいると思いますが、なかには組織や看板の力を自分の力量と勘違いしている医師もいると聞きます。小さい医療機関であってもプライドと品質をもって診療にあたっていけば、皆さんのお役に立てるのではないかと思います。「下町クリニック」として、これからもスタッフとともに頑張って行こう…(すぐテレビに影響されるんだからと、外野から声が聞こえてきそうです。)