こんにちは、院長の阿部哲夫です。
今回の、台風や暴風雨の被害で被災された方には心からお見舞い申し上げます。
ようやく気温も下がり本格的な秋の気配を感じるようになってきました。少しずつ木々の葉も色づいてきて、紅葉が楽しみです。しかし、11月に入り年の終わりの気配も感じるようになり何か気ぜわしさもあって、なんとなく落ち着かない感じもします。
最近の話題は、なんといっても台風をはじめとする水害とオリンピックのマラソン問題でしょう。いずれも今回の問題が起こる前に、先月のあべクリタイムスで取り上げていた問題だったので、自分の予知能力にちょっと驚いています。まさかこんなにすぐに、これまで以上の災害がおこり、またマラソンの熱中症問題がマラソンの札幌開催につながるとは思いもよりませんでした。
いずれの問題に共通しているのは、天候や自然災害といった人知の及ばない力によるものであることです。また、どちらの問題も地球温暖化と無縁ではなく、この問題についてはグレタさんに指摘されるまでもなく、喫緊の課題です。このまま放置すれば、さらに事態は悪化し、毎年のように熱中症患者は増え、また台風の風水害の被災者は増加の一途をたどるでしょう。また、日本国内でも南の地域は住みにくくなり、マラソンだけではなく国民も北に移動しなくてはいけなくなるかもしれません。
だからというわけではありませんが、先日研修もかねて札幌に行ってきました。札幌に行くと時計台やクラーク像といったありきたりの観光は避け、余市蒸留所とモエレ沼公園に行くのがわたくしの定番コースです。余市蒸留所はNHKの朝ドラ「まっさん」の舞台になった場所で、リタやまっさんの軌跡をたどることができます。ウイスキー好きのわたくしは、単にニッカの珍しいウイスキー目当てに行っているだけなのですが、余市蒸留所の美しい紅葉を見ながらの美酒は最高でした。まっさんこと竹鶴正孝は、余市の地にスコットランドに共通する自然の恵み(気候や水など)をみいだし、この地に蒸留所を作ったそうです。この季節少しひんやりとした澄んだ空気の中で飲むニッカウヰスキーは至福の時間を与えてくれました。
また、モエレ沼公園は、あまり皆さんご存知ないかもしれませんが、世界的彫刻家イサムノグチが設計した彼の遺作ともいえる公園です。よくもこんなものと作ったと感心する広大な敷地の中に、起伏にとんだ美しい景色が広がっています。地面を削り山を作り、噴水や林などが美しく配置されており、東京近郊では考えられないようなスケールの公園です。いわば地球そのものを彫刻したといっていいような規模の公園というか芸術作品です。その場所にいるだけで心が癒されます。子供たちが自由に芝生の上を走り回る姿を見ているだけでも楽しい気持ちになれる場所です。
竹鶴正孝やイサムノグチ、両者に共通しているのは、いずれも自然に対する畏敬と尊敬の念ではないでしょうか。地球温暖化や昨今の自然災害は、こうした畏敬の念をうしなっている日本人に対する警鐘なのではないかと思います。かつての日本人はすべての自然現象や山や川を神として崇め畏れていたのでしょう、そのために祠をつくり其の怒りをおさめていたのだと思うのです。そうした古来日本人が持っている、自然に対する謙虚な気持ちを今一度思い出してもいいのかもしれません。
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