こんにちは。院長の阿部哲夫です。
ようやく長い梅雨が明けたと思って一安心していたら、この猛暑です。急に、暑い日が続き体がこの暑さに適応できず、体調を崩している方も多いのではないでしょうか?かくゆう私も、毎日エアコンの冷気を浴びているせいか、喉の調子が悪く咳が止まりません。こうした時期には、平凡ですが、生活のリズムを崩さず、十分な睡眠をとり、バランスの取れた栄養補給や節酒するなど、生活を整えることが大事だと思います。これは自戒も込めて自分も実践して、何とか今年の猛暑を乗り越えたいと思います。
先日、この猛暑の中京都に行ってきました。仕事半分遊び半分の旅でしたが、日本の夏を満喫してきました。京都は東京よりも暑く、訪問した日は38度の猛暑で歩いていても汗がしたたり落ちるといった状況でした。このため、有名な観光どころは避け、すこし奥まった山添の寺院や庭園を散策してきました。
どの寺院に行っても、感心するのはその庭園の美しさです。多くの庭園は自然の山の緑を借景にし、そこと調和するように作られています。美しく整えるところは整え、無造作な自然を生かすところは生かす。こうした調和と不整のバランスにさえ計算されたものを感じます。その空間にいるだけで、数百年前の日本人の美意識の高さに驚嘆するとともに、眺めているだけで心が癒されていくのを実感できます。
こうした空間では、機械音などの人工的な音や人工的な空調はなく、鳥の声や風に揺らぐ木々の音など、自然の美や心地よさを実感できます。しばし過ごしていると、こうした自然の音や風が体に触れる感覚、気温の暑さ涼しさなど五感がだんだん研ぎ澄まされていき、しばし時間がたつことを忘れてしまいます。この暑さの中でも空調がなくても、自然の風だけで心地よく過ごすことができました。こうした環境の中で瞑想することは、マインドフルネスとも共通するものだと思いました。東洋の瞑想法にルーツを持つマインドフルネスとは、こうした環境で行えばよりその効果を高められるのではと思います。多くの禅宗の寺院がこうした環境を整えている理由がよくわかりました。
もう一つ感心したことは、こうした風景環境が、数百年あるいは千年近くも大きな変化なく受け継がれてきていることです。今の日常は、日進月歩で時代の変化に即応するダイバーシティーが求められています。医療の分野も例外ではなく、新しい知見や治療法をとりいれ最新最適な治療を実践することが求められていると思います。こうした日常だからこそ、京都の変わらなさに癒されるのだとも思います。何十年たっても、同じものがそこにあるという安心感は貴重です。そこでは、昔なじみの店がある日突然閉店していたといった寂しさとは無縁です。
もちろん、世界の環境はめまぐるしく変化し、テクノロジーの進歩には追い付いていかなければなりません。その一方、こうした時代だからこそ、変わらなさも貴重です。京都に行って思ったのは、この変わるものと変わらないもののバランスが大事なのだということです。この暑さの中、美しい庭園を眺めながら、瞑想しそんなことを考えてきました。
話は変わりますが、先日「めざましテレビ」(フジテレビ)のインタビューを受け、その内容が放送されたようです。ネプチューンの名倉さんがうつ病で休養することに関する放送です。この放送を見て、多くの患者さんから声をかけていただき、また放送を見て知っている人が出ていてうれしかったとの声もいただきました。わたくし自身あまり目立つことは好きではなく断ろうと思ったのですが、多くの患者さんやデイケアのメンバーに喜んでいただけたので、インタビューを受けてよかったと思いました。お声がけありがとうございました。まだまだ猛暑が続きますが、どうかご自愛ください。