こんにちは、院長の阿部哲夫です。
3月になり、暖かな日も増えてきています。今年は、少し春の訪れも早いと聞き気分が明るくなっています。しかし、3月は、木の芽時でもあり気候が不安定です。花粉症の方や、精神疾患を持っている方には少しつらい時期かもしれません。これも毎年書いているのですが、原因は不明ですが、なぜかこの時期には精神的に不安定になる方が多いようです。気温差が激しいことや環境の変化が大きなことが影響していると思いますが、明確な答えを聞いたことはありません。そうしたこともあり、3月は厚労省の自殺対策強化月間に指定されています。
先日、rTMSの講習会に渡保健師と一緒に出席してきました。rTMSとは聞きなれないかもしれませんが、うつ病治療の一つの方法です。欧米では、10年以上前から臨床応用されている治療法で、日本でも自費治療としては行われているものです。rTMSとは、日本語では反復経頭蓋磁気刺激療法といって、治療用の機械については平成29年9月には、厚労省が医療機器としては認可したものです。ただ、現在ではまだ保険適応がなく、健康保険が使えないために非常に高額な治療法となってしまい、まだ広く普及している治療法とは言えません。しかし、近々保険適応となることが予想されていて、そのために精神神経学会で治療指針を作成したり、講習会を開き実施できる医師を養成したりするなどの準備がなされるようになってきています。私と渡保健師はこの講習会を受けてきました。
反復経頭蓋磁気刺激療法とは、脳のある特定部位(背外側前頭前野:DLPFC)に磁気刺激を与えその部位の働きを活性化することでうつ病の治療に効果があるとされています。しかし、その作用機序に関しては不明な点も多くまだ発展途上の部分もあります。ただ、様々な臨床試験によりその効果は立証されており、そのため医療機器として認可されているのです。簡単に言うと、ソフトな電気けいれん療法のようなものです。電気けいれん療法に比べて、効果は若干劣るようですが、安全性が高いことと比較的簡易に実施でき外来でも実施できることが特徴です。
適応症としては、妊娠や挙児希望の方などで薬物療法を避けたい方や抗うつ剤治療で効果があまり得られない重症の方が対象となります。しかし、この治療法も万能というわけではなく、薬物療法と同等の治療効果と考えられています。薬物療法のように何週に一回かの来院ではなく週に何回も来院が必要であったり、実施に時間がかかったり(セッティングも合わせればおおむね1回1時間半くらい)などの欠点もあり、やはり薬物療法を優先して実施すべきといわれています。今後、健康保険の中にどのように取り入れられるのかが注目されていますが、現在のところ情報に乏しく、積極的に導入するべきか未知数です。今後は、こうした情報を精査し導入について検討していきたいと思っています。
来月4月からは、診療体制も少し変わります。4月からは、金曜日午後に池田先生が勤務されるようになります。臨床経験も長いベテランの先生でとてもソフトな感じの方です。また、先月からは齊藤看護師と平井看護師が入職し仲間に加わってくれました。心理士や看護師ももう一名入職予定の方がいます。あべクリニックは、これからも新しい治療法も取り入つつ進化していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。