秋の気配

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こんにちは、院長の阿部哲夫です。
毎日暑い日が続きますが、朝夕はすこしすごし易くなってきています。蝉の声もすこしトーンが落ちているようで、8月に比べると元気なく感じます。月日の流れは早く、しばらくすると秋も本格的になってくるのだと思います。

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最近、西川荒川区長と面談する機会がありました。11月に、認知症関係の講演会を区と共催で実施する関係で、区長に挨拶をしていだけることになりました。そのために、ご挨拶をかねて面談の機会をいただきました。区長との話で、話題になったのはやはりあの相模原の事件です。いまは詳細は不明ですが、違法薬物を使っていたとの報道もあり、薬物依存による精神障害である可能性もあるようです。薬剤性の精神障害は、統合失調症やうつ病とは異なり、物質の乱用によるものであるので、ほかの精神障害の方に対しての偏見を増長するものにならないといいと思っています。

この相模原の事件で問題となっているのは、いったん措置入院となっておきながら、短期間で退院した後にこの事件を起こしていることです。一つには、入院治療が不十分なまま退院となったのではという疑念があります。また、退院後の状態の把握やフォローがなされていなかったのではないかという問題です。現在の法律では、精神保健指定医が診察のうえ退院と判断すると、措置入院(自傷他害のおそれのある精神障害の方を強制的に都道府県知事の命令で入院させる制度)は退院となってしまい、退院後の追跡調査やフォローはなされていないのが現状です。

退院時には治療により症状が改善していることが前提とはいっても、入院する前には精神症状から自分を傷つけたり他人に危害を加えるおそれのあった患者さんです。やはり、こうした方には退院後の追跡が必要だと思います。たとえば、きちんと通院できているのかを追跡調査するとか、本当に病状が改善しているかどうかを確認する作業などです。こうした確認を行政がするとなると、大変なマンパワーが必要になると思われますが、現にこうした事件で多くの命が奪われたという現実を考えると、多少費用が掛かったとしても行っていく必要があると思います。もちろん本人の人権侵害がないように配慮することは必要ですが、本人のためにも治療をきちんと受けているか、病状は再発していないのかを確認することが必要でしょう。

話題は変わりますが、10月以降担当医の変更があり皆さんにご迷惑をおかけするかもしれません。内田先生の勤務日数は減り白木先生は退職されますが、平井先生は勤務日がすでに増えていますし、鳥谷先生の診療は増える予定です。ご協力お願いします。また、11月27日には「Together 〜認知症について考えよう、大切な人のために〜」と銘打ってイベントを行います。女優で洋画家の城戸真亜子さんのお話や首都大学東京の繁田教授の講演を予定しており、私も少し話をいたします。参加は無料ですので、皆さんふるっていらしてください。