もう今年も年末になりました

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こんにちは。
院長の阿部哲夫です。

早いもので、もう年末です。しかし、寒さも厳しくなく今ひとつ季節感にかけるような気がします。イチョウもまだ散る気配もなく、クリスマス気分の盛り上がりも今ひとつですね。

今年は、本当にいろいろなことがありました。最大の災害は言うまでもなく3月11日の地震でした。この地震は、私にとっても本当に色々な価値観を揺るがすような事件でした。こうした天災によって、日常の生活がいとも簡単に破壊されてしまうもとを目の当たりにして、人間の営みの無常さを強く感じました。地震当初は毎日のように、被災地の悲惨な状況を繰り返し報道されるのを見て、非常に鬱々とした気持ちになりました。

しかし最近では、被災地や放射能の影響のある地域の人たちの復興の様子を見ていると勇気付けられます。自分自身もいろいろなことがあっても、あのときの状況に比べればまだましではないかとか、すべてを失った被災地の方の苦労に比べれば自分の背負っている問題などなんでもないと思えるようになってきました。いろいろなことがあったとしても自分たちは何より健康だし、命があるだけでも幸せなのだと考えられるようになりました。

世界を見渡せば、毎日命を脅かされることなく平和に安全で暮らせる人たちはごく一部なのでしょう。そういった意味でも、日本に生まれたことは本当に感謝しなくてはいけないのではないでしょうか?何年か前に世界を100人の村にたとえるとといった絵本がはやったことがありました。そうした見方からすれば、平和で安全な生活を営んでいる人はごく一部です。もちろん下を見ればきりがないのかもしれません。しかし、災害にあってみて初めて自分たちがいかに恵まれていたのかがわかりました。電気が自由に使えないだけで大騒ぎ、ペットボトルに入った水が手にはいらないだけで行列です。しかし、世界には電化されていない地域、上水道が整備されていない地域などいくらでもあります。この日本でも、江戸時代まではそうした生活があたりまえだったのです。

この災害を通して、何が本当に必要で何が不必要なのかを考えるいい機会になりました。食事にしても、衣料品にしても、装飾品にしても、あまり贅沢なものには興味がなくなってしまいました。もともとブランド品などには全く興味の無い人間でしたが、さらに拍車がかかってしまいました。そうした意味でも、自分の価値観が非常に変わった、いや変えられた一年でした。物質的豊かさよりも精神的な豊かさがこれからは本当に必要になってくるでしょう。ブータンではないですが、幸福度も指標にしていく必要を強く感じています。そのためには、人とのつながりや日本の文化や伝統や日本人の精神性といったものを大切にしていきたいと思うようになっています。来年はこうしたことで少し自分を変えられればとも思っています。そしてそれを少しでも日常の診療に活かせればと思っています。

今年一年本当にお世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いします。