怖い絵展

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芸術の秋、ということで先日デイケアでは、上野の森美術館で開催されていた「怖い絵」展に行ってまいりました。中野京子氏のベストセラー『怖い絵』という本をベースに、感性を頼りに心のままに感じる美術鑑賞を、「怖い」というだけでなく、その絵の時代背景や隠された物語を丁寧に解説しながら見せていく手法で、中野氏の監修により、しっかりとまとめられていました。

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展示は、平日にも関わらず、驚くするほどの盛況でした。宣伝の影響もあるとは思いますが、おそらくは口コミやリピーターによっても訪れる人がどんどん増えたのだろうと思います。

比較的狭い展示スペースの上野の森美術館は、とにかくパンパンで、人の頭とともに絵を見るという感じで、ほとんどの作品はゆっくり見るということはできませんでしたが、メインの展示となるポール・ドラローシュの『レディ・ジェーン・グレイの処刑』は、広い空間が確保されており、ゆっくりと鑑賞できました。「9日間の女王」として知られる少女の最期を描いたもので、作品サイズは、縦2.5m横3mありますので、人物がちょうど等身大ということもあり、迫ってくるようなリアリティがありました。緻密に描かれた部分と、絵筆のタッチが残る藁の描写や背景のギャップによって、主役である少女にしっかりと視線を誘導する見事な技術もありますので、ドラマチックな作品背景との相乗効果で、人気が出るのも納得の作品でした。