こんにちは。院長の阿部哲夫です。
秋も深まり、いよいよ冬到来という感じです。先月には、観測史上初という東京での積雪もあり、風もその冷たさを日々増しているように感じます。最近は、消化器症状を伴った風邪も流行っているようです。年末のあわただしさもあり、体調を崩しやすい季節です。忘年会もそろそろ始まる時期ですね。人によっては、連日忘年会という方もいるのではないでしょうか?
最近の話題といえば、当院にとっては先日サンパール荒川で開催した、認知症サポーター1万人プロジェクト「Together:認知症について考えよう大切な人のために」です。
何回かあべクリタイムスでもお知らせしてきましたが、実に500人の方が参加してくださり、盛況のうちに終えることができました。当院に通院中の方も多くの方に来ていただき、この場をお借りして感謝したいと思います。
開会の辞を西川荒川区区長にしていただき、その後洋画家の城戸真亜子さんに講演していただきました。「記憶をつなぐラブレター~私と母の介護絵日記~」という題で、城戸さんご自身の介護体験とその工夫についてのお話でした。失われていく記憶を絵日記で書き留めておくことで、文字を読むことができなくなってもコミュニケーションをとり続けることができたそうです。
こうした工夫が非常に役に立ったということをはじめとして、様々な介護にまつわるエピソードをご紹介いただき、認知症の介護に関し役立つヒントがたくさんのお話でした。有名人であっても認知症の家族の介護をするのだという話は、実際に介護している家族にとって大きな励みにもなったのではないでしょうか。
ついで、首都大学東京の繁田教授に「認知症について知っておいてほしいこと~自分のために、そして家族のために~」との題で認知症についての知識をわかりやすく説明していただきました。認知症の初歩的な話から、かなり詳しい知識まで幅広いお話を分かりやすく、ユーモアも交えてお話ししていただきました。我々のように日々認知症の診療に携わる者にとっても役に立つ知識がちりばめられており、本当にためになる話だったと思います。なによりも、繁田先生の認知症治療への情熱が伝わってくる講演で、我々ももっと頑張らないといけないと気持ちを新たにいたしました。
休憩をはさんで、あら笑座の寸劇です。認知症の方への正しい対応の仕方を劇の形式をとって紹介するもので、本当に実践的な対応法を教えていただけたと思います。ちなみにあら笑座は、認知症の啓もう活動をしている認知症サポーター劇団です。認知症サポーターを増やし誰もが安心して暮らせる街をつくりたいという有志で結成されたとのことです。
そして、私が当院の認知症疾患医療センターの解説をさせていただき、最後に各地域包括支援センターに配置された認知症地域支援推進員による脳トレやころばん体操の紹介で締めくくられました。
講演会の終了後には、認知症に係る専門職や家族会のみなさまにお集まりいただき、交流会も開催しました。講演会を共催していただいた区の職員の方々や、医師会の土屋会長をはじめ、薬剤師会の会長、ケアマネージャーさん、地域包括支援センターの方々、介護保険事業所など各種団体の方や、家族会の方々にも参加していただきました。こうしたメンバーが一堂に会する機会はなかったとのことで、それぞれが顔の見える関係づくりができたのではと思います。この会を通じて、地域連携のお役に少しは立てたのではないかと思っています。今後とも、認知症疾患医療センターの活動へのご理解ご協力をよろしくお願いいたします。