こんにちは。
院長の阿部哲夫です。
4月になりサクラも開花したようです。待ちに待った花見の季節です。これまでも何回か書きましたが、昨年はとても花見気分ではなかったことを思うと、少し世相も明るくなってくる兆しを感じます。しかし、まだ夏の電力不足や電力料金の値上げもあり、気を許せない環境ですが、今年は花を愛でに公園散策をしようと思っています。皆さんは、お気に入りの花見スポットはありますか?
今話題になっていることの一つに大学の入学時期を秋にするというものがあります。しかし日本人としては、春が人生のスタートの区切りという感覚が染み付いているのか何か違和感があります。むしろ、諸外国が秋入学を春に変えた方がいいのではと思うのです。春は、寒く厳しい冬から暖かい季節へと変化する季節です。動物も冬眠から覚め、草木も芽吹く季節でありスタートにふさわしいと思うのですが、皆さんはどう思いますか?
その一方で、春は気候的環境も社会的環境も大きく変化する季節です。当然ストレスも多くなり精神的にも肉体的にも変化を受ける時期です。自律神経も冬型から夏型へと変化する中で自律神経のバランスを崩したり、精神的バランスを崩すといわれています。このためもあって、これからの時期はうつ病やうつ状態を発病する方が増えてきます。また、治療中の方も症状の悪化する方も多く見られる季節です。ぜひ体調管理に気をつけてください。
では体調管理ではどういったことに気をつければいいのでしょうか?私は、運動、睡眠、コミュニケーション、食事、趣味などの気分転換が大事だと思っています。早稲田大学大学院教授の内田直先生をはじめとして、うつ病への運動療法の効果について言及している医師は多数です。内田先生によると、特に有酸素運動が大事であるとのことです。ではなぜ運動療法が有効なのでしょうか?私は、一つには、運動により血液の循環が改善されることがあると思います。適度な運動は血液循環を改善しそれに伴って、脳の代謝も改善されるのです。また、運動により活性が高まる脳内ホルモン(麻薬のような作用のもの)の存在も重要です。運動によりこうした脳内ホルモンの活性が高まり、爽快な気分になることに効果があります。
もう一つ重要なのは、思考の問題です。想像してみてください。運動しながら悩みについてあれこれと思い巡らせることは非常に難しいと思います。運動中は、あまり難しいことは考えられません。球技であればその戦略を考えたり、ボールがどちらに来るかを考えることで精一杯です。走りながら仕事のことを考えるのも難しいのではないでしょうか?したがって、運動やスポーツによって自然に悩むことから開放されるのです。よく、「くよくよと考えないように」などと患者さんにアドバイスしたりするのですが、ではどうしたら考えないで済むのかという疑問が残ります。しかし、何か趣味に打ち込むとか、スポーツに興じるとか何か遊びの要素を生活に取り入れていくことで、悩みの一部から開放されることができるのです。
日常生活では、働くこと、遊ぶこと、そして十分に休むことのバランスをとることは大事です。重症のうつ病になっているときは、運動を生活に取り入れることは困難ですし、まずは休息が第一です。しかし、軽症の方やある程度回復された方では、働くこと、遊ぶこと、そして十分に休むことのバランスをとることに運動療法をうまく使っていくと、うつ病の改善や予防に大きな効果をもたらすと思います。