こんにちは。院長の阿部哲夫です。
はやくも2月ですね。もう正月気分も抜け、ようやく日常という感じがします。しかし、毎日寒く乾燥した日々が続き、インフルエンザも大流行中と聞きます。皆さんも、インフルエンザと火の元にはくれぐれもご用心ください。
最近はテレビをつけてもあまり明るい話題は無いですね。消費増税や年金の問題、少子高齢化など、あまり日本の将来を明るくするような話題は少ない気がします。唯一の明るい話題は、全豪オープンテニスで錦織君がベスト8に入ったことくらいです。しかし、彼の体格でここまでなったのはものすごいことです。しかも、ものすごいプレッシャーのなかで試合を戦い勝ち抜いていくのは並大抵の精神力ではないと思います。私も、たまにテニスの試合に出るのですが、試合中に普段の実力を発揮するのは本当に困難です。どうしても緊張して力が入ってしまったり、普段しないようなミスを繰り返して自滅したりと、散々です。精神科医でありながら、メンタルコントロールが出来ない自分に情けなくなります。
こうした、一流のプレーヤー達は試合中でも「理想的な心理状態」(IPS)を作るのが上手だといわれています。こうした「理想的な心理状態」を作るには、日ごろからのトレーニングが重要で、「メンタルタフネス」を養うことが必要です。つまり、色々なストレスをかけられても動じない強さです。この精神的な強さ「メンタルタフネス」を獲得するにはどうしたらいいのでしょうか?
アメリカのスポーツ心理学者ジム・レーヤーによると、「メンタルタフネス」を獲得するには、適度のストレスとそれに対する十分な回復のサイクルを繰り返すことが大事だといいます。オーバートレーニング(過剰ストレス)と不十分な回復繰り返すこともこの「メンタルタフネス」を獲得できないし、逆にアンダートレーニング(ストレス不足)でもこの「メンタルタフネス」は獲得できないというのです。ここで大事なのは、ストレスがなくてもだめだということと十分な回復つまり休養が大事だということです。
これはうつ病の予防にも共通することです。日本人は勤勉な人も多く、休養を十分にとることを忘れがちです。ストレスに負けない「理想的な心理状態」を作り出すには、やはり十分な休養が必要です。ストレスを発散し十分に休養をとったり遊んだりすることが仕事の充実には必要です。休養も仕事のうちを考えるくらいの発想の転換が必要だと思います。十分な休養や余暇の充実があってはじめて、日ごろの仕事のときに「理想的な心理状態」を作り出すことが出来るといえるのです。
その一方で、ストレスが少なすぎる状況もうつ病の回復を遅らせると思います。うつ病で長期に休養をとる場合でも、その状態に応じた適度のストレスが必要です。ですから一日中休養をとるのではなく、せめて朝の起床と夜の就寝のリズムは崩さないこと、適度の運動やウオーキングを継続すること、この程度のストレスは必要でしょう。
だからというわけではないのですが、これまで原先生が休職してから週に6日診療してきましたが、2月24日からは金曜日午前の診療を織田先生の1診制とさせていただくことといたしました。ご迷惑をお掛けすることもあるかと思いますが、よろしくご協力のほどお願いいたします。これからも、私も「メンタルタフネス」を体得して「理想的な心理状態」での診療を心がけて行きたいと思っています。