カラーアンカリング

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当院のリワークデイケアでは、自分の考えのくせを知り、バランスのとれた考え方へと修正していく『認知行動療法』に加え、10月から新たに開始した『マインドフルネス』プログラムによって「いま・ここ」に目を向けストレス低減をはかる練習を行っています。さらに先月11月から、理想の状態を意識的に引き出す『アンカリング』を学ぶ専門プログラムを開始しました。

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『アンカリング』は、マインドフルネスと同様、世界で活躍するトップアスリートなどが活用している手法です。五感に働きかける特定の刺激をアンカー(碇)とし、それに対応する特定の精神状態や意識を意図的に呼び起こすというものです。五感刺激とは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を指します。そのなかで自分が一番意識しやすいものや、身近なもの、どの場面でも使えるものなどを選んでアンカーとしていきます。

今回のアンカリングプログラムには、色彩心理療法を応用しています。色は遥か昔からわたしたちの生活にあふれ、認知と密接に関わってきました。赤や黄色の生き物に危険を感じたり、青に包まれると肌寒く感じたり、木々の緑を見ると心が癒されたりします。色は精神面とも強くリンクしており、抑うつ状態を経験した方のなかには街に何の色もなくなってしまったような気分になったという方もいますし、幸せで満ちた状態のときには世界がばら色に見えたり、きらきらと明るい色合いに感じられたり…ということがあります。自分の外にある色で状態理解をしているだけでなく、自分の中の状態が色に反映されているのです。

精神面の影響でみえる色が変わるということは、逆の発想をすれば、色を意図的に提示したり取り入れたりすることで精神面に影響し、感情をコントロールしていくこともできる、と考えられます。色は生活のなかにあふれているものであり、かつ五感に働きかけるものであることから、アンカリングに適しています。認知行動療法やマインドフルネスとの相乗効果も期待できると思います。