こんにちは。院長の阿部哲夫です。
衆議院選挙も終わり、夏祭りも終わり、いよいよ秋と言う感じですね。自宅前でせみが死んでいるのをみると、夏が好きな私はもうあの暑い夏は来年まで来ないのだと少し寂しくなります。しかも、今年の夏はあまり暑くなくちょっと不完全燃焼気味でした。
しかし、早いもので前回の衆議院選挙から4年の月日がたったのですね。前回は、衆議院で自民党が大勝をしたために、衆議院解散で廃案になっていた自立支援法がその後成立し、これまで東京都では無料あるいは5%だった通院医療費公費負担制度が廃止されました。それが、自立支援医療にかわり、負担が10%ととなりまた所得に応じて負担の上限が異なるといった複雑な制度に変わったのです。このときは、当院も事務手続きが大幅に変わるとの事で対応に苦慮したことが昨日のようです。
民主党に政権が変わり、医療や自立支援法などの障害者の政策はどのように変わるのでしょうか?少なくとも75歳以上のお年寄りを区別した後期高齢者医療制度は廃止になるようです。前回自立支援法に反対した民主党は今後この法律をどうするのでしょうか?しかし、高齢者の方の増加や医師不足、介護の問題など、これからますます医療や福祉の必要性は高まる一方でしょう。こうした状況の変化のスピードに、政府の制度がぜひ追いついていって欲しいものです。
格差社会といわれていますが、少なくとも医療においては、国民皆保険制度のお陰もあって、まだ貧富の差がそのまま受けられる医療の差には直接は未だつながっていないようです。アメリカやヨーロッパのように、貧富の差が直接受けられる医療の差につながることだけは避けたいものです。いろいろな分野で日本の地盤沈下がいわれていますが、日本の医療制度の評価は世界一といわれています。しかし、こうした医療制度にもほころびが見られているようです。昨今叫ばれている、医療崩壊は大袈裟ではないようです。東京に住んでいると実感が薄いのですが、地方に行くと大変です。いままで基幹病院だった、県立病院や市立病院などの公立病院が次々に閉鎖されているようです。これも、これまでの医療費削減策とは無縁ではないでしょう。
医療や社会保障制度についてはどの党のマニュフェストも同じような理想的な文言が並んでいたように思いました。どの党が政権をとっても、このマニュフェストが本当に実現されるのであれば、私たちの生活は本当に良いものになるはずです。ですから、どの党が本当にこうしたマニュフェストを実現してくれるのか、それが問われた選挙だった気がします。しかし、この少子高齢化の日本の社会においては、私たちが今までどおりの豊かな社会を継続していくためには、本当に知恵を結集する必要が在ります。本当に少ない働き手で多くのお年寄りや障害を抱える方を支えていかなくてはならないからです。外交や経済政策については、それぞれの党によって考え方の差は大きいと思います。しかし、医療や福祉に追加などの社会保障制度については、他の分野とは異なり差違は大きくないように思います。ですからこうした問題には是非とも、超党派で考えていって欲しいものです。そのためには、いまは何を我慢して何を優先すべきか、どこに税金を使うべきなのか、党利党略や一部の人の利益ではなく社会全体を考えた制度改革をしていって欲しいものです。医療の一端を担うものとして、選挙速報を見ながらの所感でした。