多機能型精神科診療所という言葉を皆さんはご存知でしょうか?精神科診療所の多くは、外来診療のみで、うつ病やパニック障害、適応障害などの患者さんを診療しています。しかし、当院のようにデイケアを併設したり、心理カウンセリングや訪問診療や訪問看護を行うなど、外来以外の機能を充実させた精神科診療所があり、こうした診療所を多機能型精神科診療所と呼ばれております。錦糸町にあるクボタクリニックの窪田彰先生を中心に、多機能型精神科診療所研究会が設立され、こうした診療所の機能をさらに高めるべく交流や研究会を行っています。
成人のADHDについて
ADHD(注意欠陥多動障害)という障害は、小児の病気としてだいぶ一般の方にも知られるようになってきました。治療法も、ある程度確立されてきていますし、診断についても早期診断が可能になってきています(詳しくはADHDあるいはADDについてをご参照ください)。
最近の認知症の話題について
最近は、アルツハイマー病を代表とする認知症について、関心が高まっています。一つには社会の高齢化に伴う、認知症の増加であり、もう一つは認知症の治療薬の開発です。従来、治療薬としてはアリセプト(ドネペジル)のみしかありませんでしたが、ここ2-3年で、レミニール、イクセロンパッチ、メマリーといった新しい薬が開発され、アルツハイマー病が治療可能な疾患としてクローズアップされてきています。もちろん、こうした薬は万能ではなく、その効果も限定されているものと言わざるを得ません。しかし、明らかに効果のある薬剤がなかった時代に比べれば、大きく進歩してきていると思います。
ADHDあるいはADDについて
ADHDつまり注意欠陥多動障害は、幼小児期に診断される病気です。一般に落ち着きが泣く多動で、注意力が散漫なお子さんです。こうしたお子さんは、授業中もじっとしていられずに歩き回ってしまったり、持続力が無いために同じことを集中して最後までやり遂げることが出来ない、忘れ物が多い、片づけが出来ないなどの特徴があり、人間関係に於も落ち着きなく衝動性が高いために、孤立しがちであったり、人間関係のトラブルを起こしがちである子が少なくありません。
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アスペルガー障害あるいは高機能自閉症について
最近注目されている病態に、アスペルガー障害があります。これは1944年にハンス・アスペルガーが発表した論文に報告されていた症例にちなんで名づけられた病態です。アスペルガー障害は、広い意味では自閉症の1形と考えて良い病態ですが、典型的な自閉症とは異なり、知能が保たれているが、自閉症同様に社会関係の障害やコミュニケーションの障害があり、反復性の行動や限定された趣味によって特徴づけられます。つまり、人間関係において細かな相手の表情を読み取ったり、その時の空気を読んだりすることが苦手で、相手の考えを推測することができない、自分の視点のみ正しいと思ってしまう、同じ行動パターンをとりがち、興味の範囲が限定されているなどの特徴があります。
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