雅楽が伝えるメッセージ

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こんにちは、精神保健福祉士の近藤です。皆さんは日本最古の音楽として伝わる雅楽(ががく)をご存知でしょうか。知らない方は、神社の結婚式で流れている音楽をイメージしてください。

近藤さんタイムス笛141014

以前、私は雅楽の龍笛(りゅうてき)の演奏をしていました。私の師匠は宮内庁で人間国宝として活躍されている笛の名手でした。雅楽は西洋音楽と違い五線譜がないので、師匠が歌うメロディーと手拍子を真似しながら、覚えるまで繰り返します。曲は100曲以上あり、3時間演奏する大曲もありますが、師匠は全て演奏することができました。人の記憶力の膨大さを実感しました。

雅楽は「天から差し込む光」を表す笙(しょう)、「人の声」を表す篳篥(ひちりき)、「天地を行き交う龍」を表す龍笛(りゅうてき)という竹で作られた3つの楽器が中心となって合奏することで、「天地空=宇宙」を表現していると言われています。千年経った今でも演奏スタイルや楽器を変えることなく、「人も自然の一部として宇宙を創り出す役割を担っている」と古代の人々が感じていた心を音と共に伝えています。

雅楽を知ると、便利なモノに囲まれた現代に生きる私たちだからこそ、生命体として持って生まれた能力や感性を便利さに埋没させてはいけないこと、人がただ存在し息をするだけでも、植物の光合成によって酸素を生成する自然サイクルの歯車のひとつとして重要な役割を果たしていることなどに気づかされます。

「人を感じることは、宇宙を感じること」そんなメッセージを雅楽は伝えています。