禁煙の秋

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こんにちは、院長の阿部哲夫です。
暑い夏が長かったので、いつまでも夏が続くと勘違いしていました。気がついたらもう秋も深まっていたという感じです。夏が猛暑だっただけに、今年の冬は寒くなるという情報もあり、冬がどうなるのか不安です。
10月になって気がついたことは、禁煙を始めたという人が非常に多いことです。言うまでもなく、タバコの値上げが原因ですが、禁煙外来は混み合っているそうです。

薬局さんから聞いた話では、禁煙のための薬(チャンピックス)は今品薄で、各薬局で奪い合っている状況だといいます。皆さんの健康のためにも、これが一時的なブームに終わらなければいいのだがと危惧しています。先日の新聞の記事に、厚労省の試算に副流煙の健康被害により年間に6800人が死亡していると書いてありました。どこから出た数字なのかは不明ですが、恐ろしい数です。この値上げを機に、世の中の空気が少しでもよくなってくれればと思っています。

皆さんは、喫煙というのは習慣と思っていると思いますが、われわれから見ると一種の病気とも考えられるのです。つまり、ニコチン依存症です。毎日吸わないではいられない状態であるならば立派な依存症でしょう。アルコールに置き換えればよく分かります。週に1〜2日の禁酒日を設けられない人はやはり依存症といってもおかしくないように、タバコも毎日20本吸わないではいられないのは依存症です。今は、健康保険での治療が認められるようになったのも、ニコチン依存症は病気であるとの前提からです。

タバコの害ばかり強調されていますが、いい面はないのでしょうか?吸うとホッと一息つけるなどとよく聞きます。食後の一服は美味しいとも言います。しかし、これは実はニコチン切れの禁断症状を、ニコチンを再度取り入れることで解消しているのに過ぎません。つまり、非喫煙者にはない精神的なイライラや体調の不調をニコチンを取り入れることで元に戻しているのに過ぎないのです。

こうしてみると、喫煙は肺がんや肺気腫など呼吸器の病気の原因であるだけでなく、脳梗塞や心筋梗塞の危険因子でもあり、百害あって一利なしというのが事実です。しかし、そんな堅苦しいことばかり言っていては、世の中世知辛くなるだけのような気もします。もちろん喫煙者の権利もあると思います。喫煙者が吸う場所を保証するためにも、きちんとルールを守って、非喫煙者への健康被害を最小限にするような分煙が出来るといいと思います。公共の場では一切吸えず分煙する神奈川ルールは、どこの県でも必要なのではないでしょうか。その代わり禁止するだけではなく、喫煙所をきちんと整備することも必要です。そうすることで初めてきちんとした分煙が可能になるのでしょう。しかし、人前でタバコを吸うことは、自分だけではなく他人に対しても静かな殺人行為であるというぐらいに考えてもいい時期になっているのかもしれませんね。