東日本大震災

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こんにちは、院長の阿部哲夫です。

「東日本大震災」において、被害に遭われた皆様に心よりのお見舞いを申し上げます。

初めの揺れの時には、これほどの大惨事になるとは思ってもみませんでした。大きな地震だなとは思いましたが、これほどの死者とこれほどの影響が出るとは予想できませんでした。あべクリニックに通っている方々は、皆さん無事だったでしょうか?

患者さんに尋ねると、親戚が東北にいてまだ安否もわからないとおっしゃっている方も何人かいらっしゃいました。阪神 淡路大震災の時には、正直に言えばあまり身近には感じていま せんでしたが、今度ばかりは本当に身近な災害でした。当院でも、影響は多大でした。当日、当院のデイケアは新宿への外出プログラムでした。吉本のお笑いを観劇して、その後バイキングに行くという、皆が楽しみにしていたプログラムのさなかでした。このために、デイケアのメンバーの患者さんのほとんどが新宿から動けなくなってしまいました。結局、徒歩で3時間以上かけて歩いて帰る人たちと新宿で一晩過ごす人たちとに分かれ、翌日昼過ぎにようやく全員が無事帰宅できました。当日は、帰れなくなった患者さんやスタッフが出たために、クリニックに何人か宿泊する状態でした。当日、災害に遭ったメンバーやスタッフは本当に大変だったと思います。情報も限られていましたし、電話も通じない状態でかろうじてメールが時間差をもって届くという状況で、全員無事に帰ってこられたことは、メンバーやスタッフの努力なしではできなかったことと、本当に皆さんに感謝しています。

しかし、影響は一時的なものではありませんでした。原子力発電所の事故のために放射能汚染の可能性が生じたこと、そして電力不足に陥り、計画停電が実施されたことなど予想以上の影響がでてしまいました。このために交通機関は半分マヒ状態です。このさなかに通院していただいている外来の患者さんや、デイケアのメンバーには本当に頭の下がる思いです。また、大手の企業が職員の自宅待機を命じる中、当院のスタッフは混み合う交通手段を使ってなんとか全員が出勤しております。こうした患者さんやスタッフの協力で、なんとか当院は通常どおり診療とデイケアとを行うことができています。幸い当院は計画停電のエリアからもはずれており、いまのところは支障なく診療できております。

当院も、この地震で少なからず影響はありましたが、被災地 に比べてはもちろん、あるいは近隣の県でも断水や停電などよ り大きな影響のある地域も多く、まだ影響の少ないほうと考えるべきです。そこで、いま私や私の診療所で何ができるのかを 考えていかなくてはいけないでしょう。本当は、被災地に行って、多くの心に傷を負った人々の心のケアができれば一番いいのかもしれません。地震によるPTSD(外傷後ストレス障害)や多くの肉親や財産を失ったことに起因する抑うつ反応などがこれからは問題になっていくと思います。しかし診療所を預 かる身としては、現地に向かうことは困難です。しかし、被災地から避難している方の中には、東京や埼玉に設けられた避難所に避難してきている方もいると聞きます。私にできることは、こうした被災者の方々を受け入れ診療し、少しでも力になれたらと思っています。

また、計画停電や経済の停滞、そして放射能への恐怖から、これから心のケアを必要とする方々も増えてくると思います。 通勤にも疲労し、仕事もこれからはよりハードになると思います。また、地震により経済的打撃を受ける会社も少なくないでしょう。このために、やはり抑うつ的になったり不安障害をおこしたりする人は増えると思います。こうした心の問題はいわば地震による2次災害と言ってもいいでしょう。こうした方々のケアもこれから我々が積極的に取り組んでいく課題だと思っています。また、当院に通われている患者さんでも、地震以降調子を崩しているという方も大勢います。こうした方々へのケアも必要なのは言うまでもありません。いまはまだ、地震直後のために物理的な尽力が大切な時期です。しかし、これが一段落すれば我々のような心のケアの専門家がより必要とされる時期がやってくるでしょう。その時のためにも、心の準備をしておきたいと思っています。

まだしばらくは、節電のため暖房や照明などでご迷惑をかけるかと思います。ご協力お願い申し上げます。