ようやく秋になってきました。

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こんにちは、院長の阿部哲夫です。
猛暑が続いておりますが、原稿を書いている時点では、台風のためか気温が下がり過ごしやすくなりました。しかし、天気予報では今年の猛暑は10月まで続くといっていたので予断は許しません。皆さんは、熱中症や夏バテにならずに何とか夏を過ごせたでしょうか?猛暑も過ぎ去ってみると、何か寂しい気もしますが、夏の終わりや秋の訪れを感じられるこの季節も悪くないですね。

最近、テレビや新聞のニュースでよく見かけるのは、幼児の虐待や行方不明になったお年寄りのニュースです。母親が子供を虐待して死亡に至ってしまったケースや、お年寄りがいなくなっても家族が探してもいなかったと報じられている事件です。テレビのコメンテーターは、こうした事件を信じられないとか、常識では考えられないといって、非日常の事件として扱っていました。

しかし、こうした事件は、単なる異常な現象と考えてしまっていいのでしょうか?人間関係の希薄化といった観点で捉えるとすると、まさに日常的な現象なのではないでしょうか?物やアイドルといった媒体を介さないとコミュニケーションが取れないといったオタク文化の流行や近所付き合いなど地域のコミュニティの消滅もその現れです。私は、その原因は戦後日本に急速に広まった核家族化にあるのではないかと思うのです。本来、戦前の日本は、農耕村落で家族が共同で生計を立てる大家族制を中心とした社会でした。そこでは、人間関係が希薄では生活が成り立たず、家族や地域が密に連携をとって共同作業を行うことで、生活が成り立つ社会だったのではないでしょうか?こうした環境では、日常生活の中で自然と人間関係のスキルも磨かれていったでしょう。また、引きこもりといった生活形態は許されません。育児が困難な母親がいれば、多くの一族がサポートするのが日常だったと思います。お年寄りがいれば、同居の子供や孫が面倒をみるのが当たり前でヘルパーさんの派遣などは必要の無いことだったでしょう。

こうして考えてみると、大家族制の下では、少子化も一人暮らしの高齢者問題も、児童虐待も行方不明の高齢者も引きこもりもありえない現象です。日本は近代化工業化されていく中で、何百年も続けてきた大家族制を捨て、欧米化し核家族化し個人主義化してきました。その結果が、少子高齢化であり幼児虐待であり、高齢者の介護問題であり、社会的引きこもりの問題なのではないでしょうか?したがって、大家族制を復活させ一般家庭がサザエさんの家族やちびまるこちゃんの家のようになれば、こうした諸問題は解決し、こうした問題につぎ込む税金も節約できる結果、日本の財政赤字の問題すら解決できるのではないでしょうか?

しかし、現実の問題としては、いま自分が両親と同居できるかというと難しい問題です。長年、離れて暮らしていると生活習慣も価値観も変わってきてしまっています。そこで、核家族から大家族へと変換するのは簡単なことではないでしょう。しかし、できればなるべく家族とは近くにいて協力し合う努力は必要だと思っています。互いに知恵や労力を出し合って、協力出来るものは協力し個人が孤立しないようにしていく必要はあると思います。さらに、家族だけにとどまらず地域も含めた形でネットワークを作る事は出来るのではないでしょうか?そうしたことで、介護や虐待問題や少子化を多少であっても改善することが出来ていくのだと思います。

これを書いている時点では、民主党の代表は決まっていませんが、どちらになっても今回取り上げた社会を取り巻く諸問題が急に解決するとは思いません。私個人としては、自分の身の回りのことだけでも、地域のネットワーク作りなどを通じて、ちょっとだけでも改善するように努力して行きたいと思っています。